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面白い五藤接眼レンズ  投稿者: Stew 投稿日:2021/03/31(Wed) 05:27 No.12661

ガラクマさんとみなさん。 こんにちは。

40mm五藤ケルナー接眼レンズを購入しました。 アイレンズキャップは18Xとマークされています。 望遠鏡セットの一部であるツァイスと非常によく似ています。 スコープまたは双眼鏡の焦点距離は720mmでなければなりません。

多分軍隊?

五藤が720mmの焦点距離のスコープを作ったかどうかはわかりますか。 見つかりません。

ありがとうございました。





Re: 面白い五藤接眼レンズ   ガラクマ - 2021/04/01(Thu) 21:02 No.12665

garakuma.gif  詳しい友人に協力してもらって調べましたが、焦点距離720oは見つかりませんでした。
ただ、他社に供給していた可能性もあったようです。





Re: Interesting Goto Eyepiece   Stew - 2021/04/04(Sun) 21:47 No.12680

ガラクマさん、

親友にご確認いただきありがとうございます。 情報は役に立ちます。

製造日の表示はありますか?




Re: 面白い五藤接眼レンズ   ガラクマ - 2021/04/04(Sun) 22:39 No.12681

garakuma.gif Stew さん
 製造年は分かりませんが、Stew さんのK40oは文字の配置から最も古い時期のものではないかということです。
継続して、調べてくれております。

ちなみにK40oは1931(S6)年にはすでにあったようです。
https://www.domenavi.com/ippin/2016/13_17.html




Re: 面白い五藤接眼レンズ   Stew - 2021/04/04(Sun) 22:51 No.12682

ガラクマさん、

ニコンが後藤オプティカルに供給した場合、早くも昭和1(1926)ニコンカタログ。





Re: 面白い五藤接眼レンズ   ガラクマ - 2021/04/04(Sun) 23:20 No.12684

garakuma.gif Stew さん
日本光学またはその関係会社が、五藤光学に供給していたという可能性は十分あるのではないか、と思っております。
No12665の右のK40oは少し短いだけで、五藤光学のものとそれ以外はまったく共通ですが、五藤光学の表示がありません。
五藤光学以外に向けた製品のようですが、どこが作ったかは分かりません。

ただ、五藤光学がねじ込みのアイピースを使えるような大型の望遠鏡を売り始めたのは、1930-31年あたりだと思いますので、それ以前のものはないかもしれません。




Re: 面白い五藤接眼レンズ   Stew - 2021/04/04(Sun) 23:50 No.12685

ガラクマさん、

2つの40mmのレタリングでトップの写真を見せてもらえますか?




Re: 面白い五藤接眼レンズ   ガラクマ - 2021/04/05(Mon) 00:06 No.12687

garakuma.gif Stew さん
今、このK40oは手元にありません。写真のみです。お見せすることはできず、申し訳ありません。

皆様、K40oお持ちの方は、どのようなレタリング、表示があるかご紹介お願いできますか。




Re: 面白い五藤接眼レンズ   Stew - 2021/04/05(Mon) 00:38 No.12688

ガラクマさん、

これが私が持っている4つの40mmケルナーです。

1つは昭和28-29(1953-54)のものです。 2つは昭和30-33(1955-1958)のものです。 1つは昭和35(1960)のものです。





Re: 面白い五藤接眼レンズ   (^0^)コメト - 2021/04/05(Mon) 16:31 No.12690   HomePage

utyuujin1.gif ガラクマさん、皆さんこんにちは

Hi!Mr. ​Stew
これは五藤光学を代表するようなアイピースです。
(^0^)も50年以上前に買いました。
主に自作のRFT・ニュ−トン式反射望遠鏡に取り付けていました。

これは昭和35(1960)より後の製作と思いますが、形は同じです。
これより前に作られた物は視野レンズ(fieldlens)の留め金具が無く、
簡単な金属のカシメで固定されており、良くレンズが脱落しました。(^0^;

レンズセルの金属は真鍮(ブロンズ)で重いですが、精密に出来ております。
メーカ名の書体が年代によって変わり、文字の大きさとか種類も変わります。
表面仕上げは塗装と思われますが、丈夫な物で焼き付け作業と思われます。(^0^!

Mr. ​Stewの物は今までに見なかった種類があり、これは珍しいです。(^0^8
MOONと書かれた物も初めて見ましたが、MOONgrassが入っているのでしょうか?
又は、使い方を示しているのでしょうか?





Re: 面白い五藤接眼レンズ   Stew - 2021/04/05(Mon) 20:44 No.12691

コメトさん、

写真ありがとうございます。 この40mmケルナーは、私が投稿した4つよりも新しいものです。 多分1970年(S45)かそこら。 「五藤」という単語のみが表示され、「日本」は表示されません。


小さなドローチューブでレンズアセンブリだけを使うとは思っていませんでした。 12.5cmの五藤ニュートンで試してみます。


「月」のフィルターキャップにガラスがありません。 脱落した可能性があります。 この接眼レンズにはオリジナルのキャップがないためにのみ使用されます。




Re: 面白い五藤接眼レンズ   ガラクマ - 2021/04/06(Tue) 21:58 No.12695

garakuma.gif Stewさん。

「GOTO KOGAKU」のは、相当古いですね。
私もK40oを持っておりましたが、天体望遠鏡博物館に持っていってしまっており、調べられません。
博物館では、他にもたくさんあって今すぐにでも調べたいのですが、忙しすぎて出向く機会がなかなか取れません。残念です。

友人から、「GOTO JAPAN」以降のK40oの資料を貰いましたので、Pdfファイルで添付します。(了解は得ております)。

また、1930(昭和5)年のカタログにK40oが付属している望遠鏡をみつけました。1939(昭和4)年には確認できてませんが、
10pクラスは作っていたので、有ってもおかしくは無いようです。

Download:12695_1.pdf12695_1.pdf





Re: 面白い五藤接眼レンズ   (^0^)コメト - 2021/04/07(Wed) 00:03 No.12696   HomePage

utyuujin1.gif ガラクマさん、皆さんこんばんは

PDFの資料を興味深く拝見。(^0^;
何と!クロス(十字線)入りのがありましたか。。
それも井桁組とかとなると目的は何だったんでしょう?
また、材質とか組付け方法はどんな構造なのでしょう?

ココ迄来ると恐らく児玉さんに聞いてどうかナ?(^0^8
別板「十字線 Reticle?/Crosshairs?」など要ご参照乞。




Re: 面白い五藤接眼レンズ   Stew - 2021/04/07(Wed) 04:01 No.12699

ガラクマさん、コメトさん、そして皆さん。

PDFと1930年のカタログをありがとうございます。 PDFの最初のページは私のモデル203 に付属の40mmです。PDFの2番目のページは、コメト氏の40mmです。

これが初期(左)から後期(右)までの40mmの5つすべてです。 18X 40mmには下部フランジがありません。 18X、K-40mm、K40mmのアイキャップは短くなっています。 K.40mmとMoon 40mmは背の高いアイキャップです。

18xおよびK40mmのフランジへのねじ山は0.5mmです。 K-40mm、K.40mm、Moon 40mmのフランジへのネジ山は0.6mmです。 チューブを引くためのすべてのネジ山は0.75mmです。

18X 40mmが大型屈折望遠鏡セットの一部である場合、それは720mmの発見スコープ用である可能性があります。 メインスコープではありません。





Re: 面白い五藤接眼レンズ   Stew - 2021/04/07(Wed) 04:21 No.12700

15cmの屈折望遠鏡のパンフレットの表紙に示されている広視野望遠鏡用である可能性があります。





Re: 面白い五藤接眼レンズ   Stew - 2021/04/07(Wed) 07:09 No.12701

これは、米国コネチカット州ブリッジポートの高校に設置された五藤15cm屈折望遠鏡の背面です。数年前に復元されました。

広視野スコープは720mmではなく500mmの焦点距離でした。 この写真には3つの40mmケルナー接眼レンズがあります。 接眼レンズに倍率が刻印されているかどうかを復元者に尋ねます。

たぶん、日本の望遠鏡博物館にある五藤15cm屈折望遠鏡には、接眼レンズセットがあります。 多分720mmワイドフィールドアクセサリースコープ。





Re: 面白い五藤接眼レンズ   (^0^)コメト - 2021/04/07(Wed) 11:52 No.12702   HomePage

utyuujin1.gif ガラクマさん、皆さんこんにちは

Stewさんのこの3~4連望遠鏡は珍しい物です。(^0^;
また、アメリカの高校にも輸出されていた事を初めて知りました。

ご紹介のK40にはアレンジした内部構造のがあるようで、例えば
PDF右の例ではダブルのクロス線の入った物が存在し、どうしてこれが?
と思いましたが、今、謎が解けました。(^0^8

多分、ご紹介の2枚の写真の物の右上にある副望遠鏡に取り付けて
使うように出来ていて、それは★の追跡に使ったように思います。

更に、K40の取り付けネジは2種類の規格が存在し(^0^)のは
その長さが3.8oと5.8oになり、ネジのピッチPは他社のと違います。

No.12690の写真の短い筒は他社のなので、ネジ規格が合わず、無理に
ねじ込んで合わせてあります。(^0^v




Re: 面白い五藤接眼レンズ   ガラクマ - 2021/04/07(Wed) 22:41 No.12705

garakuma.gif Stewさん。コメトさん。ありがとうございます。

Stewさんのご紹介の短いガイディングスコープはD=100mm/FL=525mmの「コメットファインダー」というものです。
近くの中学にもありましたが、カタログではオプション設定でした。
天体望遠鏡博物館には、そのコメットファインダーさえ残念ながら、ございません。

15p屈折望遠鏡においては、アストロカメラを除いたファインダー/ガイディングスコープとしては
1960年代までは、ファインダー(D=50mm/FL=500mm、K40oで12.5倍)とガイディングスコ―プ(D=80o/FL=1200mm)とコメットファインダーの3品の内2品を選択していたようですが、
1970年代以降は、3品とも選択している望遠鏡が増えたようです。

私の記憶では、倍率が記載されてK40oには遭遇したことが無かったように思えます。

[管理者修正]





K玉さんの解説   ガラクマ - 2021/04/12(Mon) 23:21 No.12710

garakuma.gif  K玉さんから解説を頂き、公開を了解頂いております。
長文であることと、ストーリーがありますので、(その1)から順次ご紹介いたします。

(その1)
*************************************************************************
添付した「五藤光学研究所の初期の接眼鏡」の画像を見てください。中央よりやや下に接眼鏡が8個並んでいますが、左端が一番古い接眼鏡で右側に行くに従って新しい接眼鏡になります。
左端の接眼鏡は、五藤光学が最初に(1927年から)製造販売した「1吋望遠鏡の甲号」に付属していたR20mmです。
その右隣にある接眼鏡は、1928年から製造販売した「1吋望遠鏡の野外用」に付属していたR20mmです。
どちらも、接眼鏡のキャップに社名や型式の彫刻はありません。

また、左から3番目の接眼鏡は、1928年から製造販売された「ウラノス号1型」に付属していたHM12.5mmの接眼鏡です。この接眼鏡のキャップにも社名と型式の彫刻はありません。
ただし、この接眼鏡は、視野レンズ枠と眼レンズ枠をスリーブの両端からねじ込むという製造方法とキャップの形状などのデザインが確立した最初のもののようです。

左から4番目の接眼鏡は、一見して分かるようにキャップに白色の塗料で"H、9" と書かれています。従って、H9mmの接眼鏡であろうと思われましたが、調べてみると視野レンズがメニスカスになっていたので、HM9mmであることが分かりました。
これは、五藤光学は、天体望遠鏡を製造販売していた初期の頃、ハイゲン式の接眼鏡を「標準型ハイゲン式」と呼び、ミッテンゼーハイゲン式の接眼鏡を「ミッテンゼー型ハイゲン式」と呼んで、どちらも "H" と標記していたことによります。
おそらく、接眼鏡が複数付属するようになりそれらを区別する必要に迫られ手書きしたものと想像されます。

つぎに、左から5番目の接眼鏡ですが、小さな画像で分り難いので、左斜め上に拡大した画像(緑色の矢印)を示しました。
これから分かるように、接眼鏡のキャップの写真の左側に「K.F=12.5」とあり、中央に中程が膨らんだ四角の中に「ゼウス」とあり、右側に「GOTO KOGAKU」と彫刻されています。
左側の「K.F=12.5」というのは、ケルナー式の焦点距離が12.5mmであるという意味 。
中央の「四角に囲まれたゼウス」はマークの一種、右側の「GOTO KOUGAKU」は製造業者が五藤光学であることを示します。
このように、この接眼鏡はキャップに「社名」と「型式」の彫刻された初めてのものと思われます。

ところで、「四角に囲まれたゼウス」のマークのようなものですが、2番目の添付画像を見てください。
ここに、五藤式天体望遠鏡の格納箱に貼られた10種類の銘版が掲げられてあります。
その左側の中央の3種、つまり「ウラノス号1型」、「1インチ望遠鏡野外用」、「太陽投映機」に貼られた銘版には、肉厚の凸レンズ3個を逆三角形に並べ、中央の隙間に★型を入れ、上方のレンズの中に「ゼウス」、左下のレンズの中に「五藤」、右下のレンズの中に「光学」の文字の入ったマークが入っています。
これが、五藤光学の最初のマークと思われるものです。
これを、接眼鏡のキャップの渕に入れても小さすぎて文字が読めないので、上方の「ゼウス」だけを彫刻したものと考えられます。

しかも、この接眼鏡のキャップに彫刻された文字は、すべて外側に向いて放射状に配置されています。因みに、このマークが使われたのは1938年〜1939年頃です。従って、Stewさんの「K=40 18×」の接眼鏡もこの時代のように古いものではないでしょうか。

その後、接眼鏡のキャップの彫刻は「Or 4」のように、GOTO KOGAKUの社名を上方に、Or 4の型式が下方にと一方向から読めるように彫刻されました。
さらにその後に、型式が上方に社名が下方に彫刻されるように統一されました。

それから、1955年前後からアメリカに小型望遠鏡が輸出されるようになります。
1948年5月9日の礼文島の金環皆既日食の際に、アメリカの観測隊に五藤光学が提供したシーロスタットが高評価を得たので、米国の天文家の間に五藤光学の名が知れ渡ったのではないかと思われます。

最初、五藤光学は輸出に際し、アメリカン・サイズの接眼鏡を作り、キャップ表面の周囲に、型式と社名を「GOTO KOGAKU」と彫刻しました。
しかし、KOUGAKU ではアメリカ人に何のことか分からないので、日本という意味のJAPANを付けて「GOTO KOGAKU JAPAN」としました(「五藤光学研究所の初期の接眼鏡」の上段右端の米国向けのH6mmの接眼鏡)。
こうして、接眼鏡が日本製であることをアピールしましたが、それではKOGAKUは必要ないことが分かり、その後、社名は単に「GOTO JAPAN」としました。
1950年代半頃のことです。〈その1 〉終わり、

Download:12710_1.pdf12710_1.pdf Download:12710_2.pdf12710_2.pdf





Re: 面白い五藤接眼レンズ   Stew - 2021/04/14(Wed) 11:24 No.12711

ガラクマさん。 多摩様。 みなさん。

私は上記の情報に謙虚です。 私たち米国では、五藤光学望遠鏡についてはほとんど知りません。 五藤光学はこれらの宝物を日本のために保管していたようです。 一部は米国に到着しましたが、ほんの短時間でした。 私たちはあなたのアマチュア望遠鏡産業の発展についての理解を深めてきました。 特に、ガラクマさんのフォーラムでここに貢献してくれた人たちに連絡を取りました。

これは、S13(1938)からS17(1942)までの私のApollonモデルの地上接眼レンズのアイレンズとキャップです。 日付は戦前の法人設立を示すラベルからのものです。 それは後のタイプのように見えるので、おそらく部品は古く、戦後に組み立てられました。





Re: 面白い五藤接眼レンズ   (^0^)コメト - 2021/04/14(Wed) 16:54 No.12712   HomePage

utyuujin1.gif ガラクマさん、皆さんこんにちは

Hi!Mr.Stew
この写真の接眼レンズはテレストリアル地上用として五藤光学の天体
望遠鏡には普通に装備されていた物です。
多分、バレルの口径はφ24.5oと思いますが、現在でも他社でφ31.7o
のが売られています。(^0^;

五藤光学は日本光学(Nikon)から分かれて経営されたので、そのマークも
似たのを使用しております。(^0^8
天体望遠鏡は現在、Nikonでは作っておらず五藤光学も同様です。

作っていた時の性能は似たような物でしたが、いずれも優れた物が多く、
市販の天体望遠鏡だけで比較すると、五藤光学は機種が多かった。
今でも人気の小型赤道儀は五藤光学が多いようです。(^0^v




Re: 面白い五藤接眼レンズ   Stew - 2021/04/14(Wed) 21:54 No.12713

ガラクマさんとみんな、

コメトさん、

はい、これはApollonに通常含まれているアクセサリであることを理解しています。 しかし、戦前は五藤光学が株式会社である短い期間です。 戦後、五藤光学は古いスペアパーツでいくつかの望遠鏡を作りました。 完成のために新しい部品が追加されました。 私のアポロンはアメリカの占領軍兵士が所有していました。 戦後に購入。 新着? それとも完全に戦前に作られたのでしょうか? このアイレンズは、戦前よりも現代的で、アポロンセットを完成させることができますか?

可能だと思いますが、ありそうにありません。




Re: 面白い五藤接眼レンズ   ガラクマ - 2021/04/15(Thu) 22:16 No.12716

garakuma.gif ちょっと遅くなり、お話が昔のものとなりますが、(その2)をご紹介いたします。

********************************************************
〈その2〉
Stew さんの K=40 18×
の接眼鏡は、倍率の表記がなければ単なる普通のケルナー式接眼鏡です。
写真を見ると、普通の K40mm よりも長さが5〜6mmほど短いように感じますが、Stewさんどうでしょうか。

さて、それではこの倍率は何を意味するのでしょうか。天体望遠鏡のように倍率を変えるためにいろいろな接眼鏡を抜き差しすることなく、使用する望遠鏡が決まっているということであれば、15cmや20cmの中口径の据付型屈折赤道儀のファインダーか観光用の望遠鏡でしょうか。
そこで、それらの中から対物レンズの焦点距離が 40×18=720mm のものを探すことにします。

まず、1936年のカタログに登場する20cm据付型屈折赤道儀のファインダーから見てみることにします。
最初にそれらの写真を添付します。20cm据付型屈折赤道儀の鏡筒にはこのように多くのアクセサリー(付属品)が同架されて、K40mmの接眼鏡も数多く使われています。
2番目に1936年〜1969年に製造販売されたモデルと、3番目に1969年以降のモデルのカタログを添付します。

3番目に添付したカタログの3ページ目に、観測用ドームに設置された時の図が掲載されています。
この図には、オプションのアクセサリーも含めて全て描かれているので、それらの焦点距離を2ページと4ページの仕様を見てみます。

2ページから
@ガイディングテレスコープ:有効径 80mm、焦点距離 1,200mm
Aファインダー      :有効径 50mm、倍率 12.5×、焦点距離 500mm、視界 3°

4ページから
B星野撮影装置      :有効径 102mm、焦点距離 500mm、キャビネ版
Cコメットファインダー  :有効径 102mm、焦点距離 525mm
Dソーラープロミネンステレスコープ

このように、これらのアクセサリーを見る限り、焦点距離が720mmのものは見当たりません。
従って、K=40
18×は中口径の据付型屈折赤道儀のアクセサリーに使われたものではなさそうです。


つぎに、接眼鏡の交換をしないで使う望遠鏡と言えば観光望遠鏡でしょう。そこで、「五藤式観光
望遠鏡」のカタログを添付しましたので、そちらを見てみましょう。

No.401 観光望遠鏡 1B型
対物レンズ:2枚構成アクロマート、有効径 60mm(60mは間違い)、焦点距離
1,000mm
接眼レンズ:4群5枚、倍率 33×、実視界 51′、見掛け視界 28°、光明度 3.3、瞳孔径
1.8mm

No.402 観光望遠鏡 2S型
対物レンズ:2枚構成、有効径 80mm、焦点距離 800mm
接眼レンズ:2群5枚、倍率 20×、実視界 3°、見掛け視界 60°、光明度 16、瞳孔径
4mm

No.404 観光望遠鏡 4A型(ゼンマイ式)、4B型(電池式)
対物レンズ:2枚構成、有効径 80mm、焦点距離 400mm、焦点比 1:5
接眼レンズ:2群3枚、倍率 15×、実視界 3°20′、見掛け視界 50°、瞳孔径
5.3mm、光明度 28

No.405 ステレオ観光望遠鏡 5C型
対物レンズ:2枚構成、有効径 102mm、焦点距離 800mm、焦点比 1:8
接眼レンズ:2群5枚、倍率 20×、実視界 3°、見掛け視界 60°、瞳孔径 5mm、光明度
25

No.406 マンモス観光望遠鏡 6S型
対物レンズ:2枚構成、有効径 314mm
接眼レンズ:3群5枚、焦点距離50mm、実視界 1°20′、見掛け視界 60°、倍率
45×、瞳孔径 7mm

No.407 観光望遠鏡 7S型
対物レンズ:2枚構成、有効径 80mm、焦点距離 400mm
接眼レンズ:2群5枚、倍率 20×、実視界 3°、見掛け視界 60°、光明度 16、瞳孔径
4mm

これら、観光望遠鏡の仕様を見ると、対物レンズの焦点距離が
400mm、800mm、1,000mmで、
720mmのものはありません。また、接眼鏡は No.404 のものが 2群3枚構成でケルナー式かも知れませんが、倍率が 15×とちょっと違います。

他の接眼鏡は、レンズ枚数の多いエルフレ型のようですから、K=40 18× の接眼鏡は、観光望遠鏡のものではなさそうです。

〈その2〉おわり。

Download:12716_1.pdf12716_1.pdf Download:12716_2.pdf12716_2.pdf Download:12716_3.pdf12716_3.pdf Download:12716_4.pdf12716_4.pdf





Re: 面白い五藤接眼レンズ   Stew - 2021/04/16(Fri) 02:38 No.12718

ガラクマさん、K多摩様、ありがとうございました。

また、720mm焦点距離望遠鏡のすべてのカタログを確認しました。 接眼レンズは別のメーカー向けに作られたようです。あるいは、市販のカタログにはない距離計や監視望遠鏡など、特定の五藤軍用光学機器用に作られたようです。




Re: 面白い五藤接眼レンズ   ガラクマ - 2021/04/17(Sat) 22:35 No.12722

garakuma.gif K玉氏のコメントでは、軍用ではないという見解のようです。

**********************************************************************************
『天文夜話』のpp.94〜96の「戦時色ますます濃く」のところに、次第に戦時色が強くなって、
光学兵器を増産しなければならない事になった。そこで、五藤光学を会社組織にすることを考え、
役員を募って株式会社とした。ところが、重役が多すぎて意見が纏まらず、五藤は嫌気がさして
持ち株を引き取ってもらって社長えお辞し、三軒茶屋の自宅工場に戻った。そして、天体望遠鏡
を作りながら、陸軍の研究委託に専念した。

その研究については、『天文夜話』のpp.108〜110に、陸軍での研究委託の課題は2つあった。
1つはB-29の操縦士が操縦不能となるようなレーザー光線の開発で、もう1つは超望遠鏡の開発
である。この超望遠写真鏡はF:50口径20cmであったが、Fの明るい焦点距離2mの望遠レンズの
四ツ切引伸し像との比較テストを盛んに行った。とあります。(添付資料:超望遠写真鏡@)

従って、五藤齊三は軍の研究で忙しく、他に軍用の接眼鏡を作る暇はなかったと思います。

Download:12722_1.pdf12722_1.pdf Download:12722_2.pdf12722_2.pdf
[管理者修正]





Re: 面白い五藤接眼レンズ   ガラクマ - 2021/04/17(Sat) 22:42 No.12723

garakuma.gif 続けてその3です。

************************************************************
私たちは、Stew さんの「K=40
18×」の接眼鏡について、当初その外見や社名と型式の彫刻されている
状態などから、かなり古いものではないかと考えました。そこで、最初はK40mmの接眼鏡を用いた時に、
ちょうど18×になるような望遠鏡があるのではないかと、五藤式天体望遠鏡のリストを基に調べました。
しかし、残念ながら該当するような望遠鏡を見つけることは出来ませんでした。

そこで、〈その1〉では、接眼鏡のキャップに刻まれた社名と型式の文字がキャップの縁の方が上になる
様に放射状に配列されているという特徴から、五藤光学の接眼鏡の歴史の何処に当たるかを調べました。
その結果、相当古く昭和3年〜昭和4年(1928年〜1929年)頃ではないかとしました。

つぎに、〈その2〉では、接眼鏡を頻繁に交換して倍率を変える必要がない望遠鏡とはどのようなものか
と考えた時、大型の望遠鏡に同架されているファインダーやガイディングテレスコープと観光用望遠鏡な
どがあると考え、それらの対物レンズの焦点距離や使われている接眼鏡を調べました。しかし、ここにも
該当する望遠鏡はありませんでした。

そこで、〈その3〉では、高倍率で歪曲の少ないため測定用に使われる高価なオルソスコピックではなく、
像面湾曲や非点収差、歪曲収差が相当残っていても、低倍率で視野が広く覗き易いケルナー式の接眼鏡が
必要な望遠鏡、即ち「K=40
18×」でなければならない望遠鏡とはどのようなものかと考えてみました。

〈その3〉
上記のような条件で考えた時、それは天体観測や観望に供する望遠鏡ではなく、少々像が歪んでも遠くの
ものが大きく見えれば良いというものではないかと考えられます。

そこで、1914年のエミール・ブッシュのカタログを見ると、@手持用の望遠鏡や、A旅行用の望遠鏡、
B狩猟用の望遠鏡、C船舶用の望遠鏡と、Dそれらの望遠鏡用の三脚などがありました。
また、古いワットソンのカタログにも、携帯用望遠鏡というものがあります。

それでは、日本ではどうでしょうか。五藤光学の1929年と1938年〜1939年頃のカタログを見てみると、
1929年のカタログに、@オリオン号とAリーラ号という旅行遊覧や散歩登山に使えるものがありました。
また、1938年〜1939年のカタログには、@航海望遠鏡(携帯用対空望遠鏡)と、A携帯型対空地上望遠
鏡、B据付型対空地上望遠鏡、C防空監視哨用対空望遠鏡などがありました。

リーラ号については、2018年の暮に「天体望遠鏡博物館」で購入したものを調査させていただきました。
対物レンズは、有効径38.5mmのアクロマート色消しレンズで、焦点距離は500mmです。天体用の接眼
鏡は、ラムスデンの10mmですが、キャップには「LYRA 50×
GOTO」と彫刻されています。また、付属
の地上用接眼鏡は、テレストリアルの20mmですが、このキャップにも「LYRA 25×
GOTO」と彫刻され
ています。これは、これらの接眼鏡がリーラ号専用のものであることを示します。

これでようやく、接眼鏡のキャップに倍率の彫刻されているものに出会うことが出来ました。それでは、
つぎの対空地上望遠鏡はどうでしょうか。

対空地上望遠鏡のカタログからは、接眼鏡のキャップに彫刻があるかどうか窺い知ることはできません。
しかし、幸い手許に「航空望遠鏡(携帯用対空望遠鏡)」がありますので写真を撮り最後に掲げました。
残念ながら接眼レンズが失われてありませんが、レンズ枠は残っていますので、横から撮影しましたが、
残念ながらキャップに彫刻はありませんでした。〈その3〉おわり。

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Re: 面白い五藤接眼レンズ   青色つきこ - 2021/04/18(Sun) 00:22 No.12724

みなさま、こんにちわ。

私見は対空望遠鏡用ではないのかと、思っておりました。

D-8が20倍、D-2が30倍です。対物レンズ90mmなので、F=8であれば18倍です。

D-2の改良型がD-8なので、更に広視界を得るためにDシリーズに改良が加えられ
たのではないでしょうか。

私はD-2とD-8しか知りませんし、戦火が拡大していくと五藤光学研究所の広告も
限定的になります。
推測の域はでませんが、18倍のDシリーズがあっても不思議ではないと思います。




Re: 面白い五藤接眼レンズ   青色つきこ - 2021/04/18(Sun) 20:06 No.12725

D-2とD-8の広告を載せておきます。





Re: 面白い五藤接眼レンズ   Stew - 2021/04/18(Sun) 21:33 No.12726

ガラクマさん、多摩様さん、青色つきこさん、

このK = 40mm18X五藤接眼レンズが合う望遠鏡を見つけるためにあなたの努力に感謝します。 あなたの努力は非常に詳細で徹底的です。 この望遠鏡は不明のままのようです。

私はここ米国で15cm五藤屈折望遠鏡の所有者と話をしましたが、倍率でマークされた接眼レンズはありません。 したがって、接眼レンズは謎のままです。

倍率がマークされたLyra接眼レンズは、K = 40から18倍を必要とする望遠鏡があることを期待しています。 探し続けます。




Re: 面白い五藤接眼レンズ   ガラクマ - 2021/04/18(Sun) 21:52 No.12727

garakuma.gif 青色つきこ様
興味深い推察、さすがです。
ただ、D-8の改良型ではなくて、D-2の改良版ではないでしょうか。
D-8は、20Xで3°の実視界60°のアイピースがおごられています。K-40oは実視界40°程ですので、見かけ視界は広くなりません。

 ただ、60°の広視界アイピースを見ると不思議なことが分かります。
(その2)を見ると、
 No.402 観光望遠鏡 2S型 80mm/焦点距離 800mm 接眼レンズ:2群5枚、倍率 20×、実視界 3°、見掛け視界 60°
 No.405 ステレオ観光望遠鏡 5C型 102mm/焦点距離 800mm、焦点比 1:8 接眼レンズ:2群5枚、倍率 20×、実視界 3°、見掛け視界 60°
これを見ると焦点距離40oのアイピースのようですが、これで60°を得ようとすると、とんでもなく大きなアイピースになります。
36.4oの高橋やビクセンのEr32oはギリギリ60°あるか無いかです。

No.407 観光望遠鏡 7S型 対物レンズ:2枚構成、80mm/焦点距離 400mm 接眼レンズ:2群5枚、倍率 20×、実視界 3°、見掛け視界 60°
これだと、焦点距離20oになります。

天体望遠鏡博物館に有る五藤光学のエルフレは確か26o(28o?)だったと思いますが、バレル系は特殊で50o以上はあります。
http://yumarin7.sakura.ne.jp/telbbsp/joyfulyy.cgi?getno=3378#getno3378

そこで推定するのに、表示される焦点距離は対物レンズの焦点距離であり、観光望遠鏡のように正立系の望遠鏡については、合成焦点距離は別にあるのではないでしょうか?
よって、もし正立系やオッカルティングディスクが内蔵されている太陽観測用の望遠鏡等、複合レンズ光学系用だったら対物レンズの焦点距離を調べても無駄かもしれません。

2S型の光路図をつけます。私がそれぞれのレンズを太陽で焦点距離調べたつもりでしたが、合成焦点距離は実測してません(抜けてますね〜)。
ただ、レンズの焦点距離と間隔があってれば、400oであってるでしょうか。

[管理者修正]



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