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4cm屈折の見え味  投稿者: 投稿日:2022/11/05(Sat) 23:10 No.13203

連休で天気は良いし、月土木火星が見頃だし、色々とっかえひっかえ遊んでおります。

写真は手元の4cm屈折鏡筒。上から@ダウエルFL600mm、AコピターFL800mm(青板ガラス 接眼部はメーカー不明の6cm用に換装。元の接眼部はガタが多くて駄目だった。)、BプリンスFL800mm(光学ガラス 接眼部は五藤製5〜6cm用に換装。これも元の接眼部はフェルトがスカスカで駄目)、Cコルキット:スピカFL420mm(接眼部はペンシルボーグパーツに換装。これも接眼部が弱点。)、DApo-Nikkor360mmF9(接眼部はケンコースカイウオーカー用で自作。)、EミザールFL800mm(光学ガラス)、FアストロFL500mm、G3BチビテレFL220mmと8本見比べです。

@ダウエルはコンパクトながらよく見える。(BプリンスのF20に引けを取らない。むしろ、上かも。)
Aコピターは凸レンズが青板でよろしくない。清掃しても改善せず。他社の青板使用品(カートンだったと思う)も同様。レンズ入れ替えてみたが同一傾向。
Bプリンスは三脚は弱々しく、接眼部もブヨブヨだったので大改造したが、改造した甲斐もあってか色は感じるもののシャープ感はそこそこ。
Cコルキットはチビテレ同様の貼り合わせで収差補正は不利のはずだが大いに健闘。僅かに劣るが貼り合わせのおかげか?コントラストは意外と良い。
DApo-Nikkorは色収差は流石に少ない。写真製版用なので軸上より倍率の色収差補正がメインではあるが、70倍くらいなら十分にシャープ感がある。無限遠補正ではないので過修正だが焦点距離が短いと何とかなる?(5cm超えると駄目な感じ。)
Eミザールは入手直後は曇と軸ズレでイメージ悪かったのですが分解清掃し、ニュートンリングも合わせてリターンマッチ。Bプリンスと同程度。
Fアストロは架台が卓上型なもんで比較が厳しい。鏡筒バンド作って別の架台に載せてリターンマッチしたい。
G3Bチビテレは流石に色が目立つ。ドローチューブが長く、レンズ裏面近傍まで近づく構造で、実質有効径35mmくらいかも?

無理やりに順位をつけると
@≒B≒E≒D≧C>F>>G>>A 
@〜Cは僅差。木星の縞は中央2本と上下の暗い中にちょっと見えるか?土星の輪はしっかり。本体の明るさが一様でないのはわかる。火星はDApo-NikkorだとペンタXO2.5mm(144倍)で極冠とシルチス、エッジ部の朝霧の輝き?くらいは分かる。
アクロマート小口径の4cmでも、分離玉+光学ガラス製+F暗めなら意外と見える。口径なりではあるが、粗悪反射望遠鏡に比べれば圧倒的にまともな星像。

現在新品で入手可能なのはコルキット:スピカだけだが、ハイCP。(コロナ禍で納品遅れ気味だが)あの価格から考えると驚異的。





Re: 4cm屈折の見え味   ガラクマ - 2022/11/06(Sun) 21:17 No.13204

garakuma.gif 原さんのレポート、4cm屈折を取り上げた詳しい解説は、今まで無かったんじゃないでしょうか。
是非とも、あちこちでご披露下さい。

スークーさんの、ミザールファインダーや5cmのお話と共に、1000円程度で買える望遠鏡での新しい楽しみ方を教えてくれます。

私の気になっていたのは、青板レンズが五藤光学以外に、どれほど流通指定していたものか?という点と、見えるか見えないものか。
 光学レンズを青板レンズに替えるコストメリットって、本当にあったのか?
という点です。




Re: 4cm屈折の見え味   昭和の人:還暦+α - 2022/12/14(Wed) 13:38 No.13243

ガラクマ様、原様、皆さま、こんにちは。

私が最初に就職した会社で光学ガラスを製造していました。
私自身は光学ガラスの製造には関係していませんでしたが多少の知識を得ていたのでコメントさせていただきます。

現在の光学ガラスの製造では大量生産しているBK7ではバッチ(原材料)から直接最終製品に溶解する連続溶解炉が使われています。
φ150mmぐらいまでの大きさであれば連続的に溶解した光学ガラスをユーザーの希望の形の金型に流し込み成型するダイレクトプレス
が行われていて自動化されています。

成型されたガラスは冷却後、加熱炉でアニールして歪をとって出荷されます。
あまり人が介在しないため、製造コストは昔の方式に比べて大きく下がっています。
(ダイレクトプレス部は室温50度近くになっているため、働いている人には毎日、熱中症対策の梅干しと牛乳が支給されていました。)

ポロプリズムなどは最終形態に近い形の金型を使っていました。
昔に比べてエンドユーザーは外形の加工時間を短縮出来ているはずです。
レンズも同様に最小限の粗摺りで済むような形状の金型でプレスされています。

こちらの記事にある工程が参考になります。

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/1016731.html

こちらの会社の沿革によれば現在の方式は1989年頃に始まったようです。

https://www.hoya-opticalworld.com/japanese/company/history.html

1970年以前はこちらの解説記事にあるように1次溶解でできたガラスを2次溶解でバー状にしたものを検査した後、
連続溶解して金型でプレスしていたようです。(先の記事と同様の工程です)

https://www.newglass.jp/mag/TITL/maghtml/128-pdf/+128-p023.pdf

先の会社の沿革によれば2次溶解の連続溶解は1965年から行われたようです。

1965年以前の2次溶解後は手作業で再溶解して型に流し込んで徐冷していたと思われます。
人手も時間もかかるため1965年以前の光学ガラスは現在に比べると相当高かったのではないかと思います。

現在の光学ガラスの価格はメーカーに聞けばわかるのですが、形状や数量などの条件によって変わってくるので
青板ガラスと比較するのは難しいですね。

エドモンドオプティクスジャパンで同じような大きさのコートなしの光学ウインドウが販売されています。

BK7
φ50mm t1mm 面精度1/4λ 10,450円
φ50mm t2mm 面精度1/4λ 10,450円
φ50mm t3mm 面精度1/4λ 10,450円

B270(白板ガラス)
φ50mm t1mm 面精度λ 6,800円
φ50mm t3mm 面精度λ 6,800円

厚みが変わっても値段が変わらないのは同じ素材を加工して厚みを変えているからかもしれません。

こちらの会社のウインドウガラスで青板ガラスと白板ガラスはあまり価格が違わないことがわかります。

https://novooptics.com/product/category04.html#category0410


白板ガラス(B270) φ50mm t3mm 研磨あり 4,000円
青板ガラス     φ50mm t3mm 研磨なし 3,200円

研磨などの加工代が原価に含まれており発注数によって変わってくるので判断が難しいですが現在では一番安いBK7で
青板ガラスの2〜3倍ではないでしょうか。
(研磨は自動両面研磨機を使っているはずなので1/4λもλもコスト差はほとんどないと思います)

1965年以前は10倍以上していたのではないかと思われますので量産する場合は青板のコストメリットがそれなりに
あったと推察されます。
あくまでも私の勝手な推測です。

シュリーレン装置という屈折率むらによる光の曲がりを利用して空気の揺らぎやガラスの脈理を観察する装置を作ったことがあり、
青板ガラスの脈理をテスト用サンプルにしたことがあります。

こちらのレンズ1面法の構成です。

https://zousen-shiryoukan.jasnaoe.or.jp/item/genre06/category06-02/item-052012/

対物レンズのフーコーテスターと同じ配置ですね。
レンズ−平面ミラー間に屈折率むらがあると光が曲がるためナイフエッジを透過する方に曲がれば明るく、
遮られる方向に曲がれば暗くなるので明暗が生じます。

現代の青板ガラスにはそれほど大きな脈理はありませんでしたが物によっては画像のように脈理が見えるものがありました。
(画像の丸い視野がφ80mmです。)
脈理と屈折率が保証されていないことが見え方に影響しているのではないかと思います。

勝手な解釈の長文、失礼しました。





Re: 4cm屈折の見え味   青色つきこ - 2022/12/15(Thu) 07:46 No.13244

みなさま、こんにちわ。

昭和の人:還暦+α様、興味深く読ませていただきました。
読みながら、終戦後〜1960年頃の天体望遠鏡メーカーは対物レンズを作るのに
どう対応していたのか、レンズ材料はどう集めていたのか。
自社に坩堝を持っていて、製造していたのか。
思いをめぐらせました。




Re: 4cm屈折の見え味   昭和の人:還暦+α - 2022/12/15(Thu) 14:35 No.13245

青色つきこ様

コメントありがとうございます。

終戦当時の天体望遠鏡メーカーで光学ガラスを生産していたのは日本光学工業(現ニコン)ぐらいでは
ないかと思います。
「ニコンは1923(大正12)年に4種類の光学ガラスの熔解に成功したと記録があり」と
こちらで紹介されています。

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1431040.html

終戦当時、国内で光学ガラスを供給していたのは現在のオハラ、HOYAぐらいではないでしょうか。
(ニコンは自社で使うものを生産していたように思います)

後は光学ガラスの本家本元ショット社(ドイツ)の光学ガラスを輸入していたと思われます。
(ショット社が終戦直後に生産できていたのか不明です)

株式会社オハラの沿革には「1936年11月 光学ガラス熔解開始」とありました。

https://www.ohara-inc.co.jp/company/history/

Wikipediaによるとオハラの創業者は海軍で光学ガラスの開発を行っていて光学ガラス製造がニコンに譲渡されて
ニコンで働いた後、退職しオハラを設立したそうです。
オハラはトプコンやキヤノンに光学ガラスを供給していたようです。
(余談ですが父の形見のトプコン製7x50mm双眼鏡(1970年頃の製品)を持っています)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%8F%E3%83%A9_(%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC)

「小原光学硝子の名を上げた製品が、1975年(昭和50年)に生産を開始した低屈折低分散ガラスFK01である。
これはいわゆる異常分散ガラスといわれるガラスの走りで、従来の光学ガラスより色収差を軽減できる。
発売と同時に、FK01を使ったカメラ用レンズや天体望遠鏡などの新製品が各社から続々と登場した。」
とあり、天体望遠鏡ともかかわりがあります。


HOYA株式会社の沿革では「1941(昭和16)11月:保谷市で光学ガラスの製造に着手。」となっています。

https://www.hoya.com/company/history/


株式会社住田光学ガラスは「1953(昭和28年)光学ガラスの熔融を目的に (株)住田光学硝子製造所を設立。」と
ありますので戦後に製造を始めたようです。
住田光学ガラスは1987年に蛍石とほぼ同等の光学ガラス「ホタロン:K-CaFK95」を開発したことで有名になりました。

他にも光学ガラスを製造していた会社があったのかもしれません。

間違いがあるかもしれませんのでご存じの方はご指摘いただければと思います。




Re: 4cm屈折の見え味   昭和の人:還暦+α - 2022/12/15(Thu) 18:47 No.13246

皆様

調査不足でした。

1976年のこちらの解説記事では
「終戦と共に、一時ダウンした日本の光学ガラス業界の5社は」
とあるので終戦の頃は5社あったということでニコン、オハラ、HOYAの他にミノルタカメラ、冨士写真フイルムが
戦前から生産していたようです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1933/42/492/42_492_38/_pdf

「現在、日本光学硝子工業会に所属する光学ガラスのメ一力は10社(小原光学、コシナ光学、住田光学、千葉光学、
東芝化成工業、日本光学、光ガラス、冨士写真フイルム、保谷ガラス、ミノルタカメラ)あり」
と表現されているので1976年時点では10社以上あったようです。

コシナ光学(現コシナ)は自社用の光学ガラスを生産していそうです。

千葉光学は情報がありません。

東芝化成工業は合併を繰り返して現在はAGCテクノグラス株式会社になっていて、望遠鏡などに使われる
光学ガラスは生産していないようです。

光ガラスはニコンの子会社になり現在も生産しているようです。

冨士写真フイルムも生産している可能性がありそうですが情報が見つかりません。

ミノルタカメラはコニカミノルタになりカメラ事業から撤退しているので光学ガラスも生産を取りやめている
可能性が高いと思います。

他に飯山特殊ガラスで光学ガラスを製造しているのを思い出しました。
10年ほど前、鉛の入った旧ガラスSF6が必要になり展示会で聞いたところ生産しているという話でした。
(放射線の遮蔽が可能な窓という特殊用途があるので鉛の入った光学ガラスを生産しているそうです)




Re: 4cm屈折の見え味   もも - 2022/12/16(Fri) 00:10 No.13247

ガラクマさま、みなさま。
こんばんわ、ももで〜す。

素人の発言なので、トンチンカンかも知れませんのでご容赦を。
望遠鏡とかカメラとかの古典的な光学系だと硝子を使ったレンズとか反射鏡が使われてるのでしょうけど。
近年だと、スマホカメラみたいな口径の小さな光学はプラスチックのプレスで制作されているモノもあるんだとか?
硝子では得られない高屈折・低分散の特性が得られるのかもしれませんね。
そこを上手く天体用に活用できれば、また新しい世界も見えてくるのでしょうかしらね?




Re: 4cm屈折の見え味   ガラクマ - 2022/12/16(Fri) 06:44 No.13248

みなさん、貴重なご意見、情報ありがとうございます。

初めにもどりますと、原さんのテストでも青板レンズのものは性能が悪い。とのことですが、それが案外最近まで作られていた理由に興味があります。

サンフランシスコ条約締結以前から、光学ガラスを使った安価な双眼鏡は輸出開始しておりましたので、光学兵器(防空監視用とか)生産として戦時中から需要があった光学機器産業は、光学ガラス産業とともに案外早い時期から復興したものと思います。

そんななか昭和30年代になっても安価とは言えない75o屈折赤道儀にまで青板ガラスを使っていたのが五藤光学。
双眼鏡に比べガラス材料の全体に比するコストが小さいと思われる天体望遠鏡に、あえて使った理由です。

当時、学習用の青板レンズ(6p、F20)赤道儀式が3万円、一般向けエロス号は(6p、F15)は7万円でした。
赤道儀も確かにエロス号のほうが立派でしたが、学習用も差額程は劣っておりませんでしので、あえて価格も差別化したものと思います。
五藤光学につられ、各社も青板レンズを使い始めたのでしょうか。

プラスチックレンズは時代の要求でしょうか、興味があります。対候性とか大丈夫でしょうか。




Re: 4cm屈折の見え味   青色つきこ - 2022/12/16(Fri) 08:02 No.13249

みなさま、こんにちわ。

青板ガラスを使用した対物レンズについては、五藤光学は軍からの払い下げで
大量な光学ガラスを持っており -その中には青板ガラスも含まれており-
在庫を使いきる必要があったと思われます。
その辺は、いろいろと記載が見受けられます。

4cm F=20については、どこが最初に出したのでしょうか。




Re: 4cm屈折の見え味   Linf - 2022/12/16(Fri) 08:49 No.13250

皆様

Public skies: telescopes and the popularization of astronomy in the twentieth century 2010

学位論文の一部だそうです。論文名で検索するとPDFファイルを無料で閲覧できます。




Re: 4cm屈折の見え味   昭和の人:還暦+α - 2022/12/16(Fri) 14:38 No.13252

皆様こんにちは

ガラクマ様
脱線させたようで申し訳ありません。
五島光学が青板ガラスを使った理由は光学ガラス不足もあったのではないでしょうか。
1960年代と言えば銀塩の一眼レフカメラが普及したころです。
こちらによれば1960年頃から生産台数が急増しています。

https://www.jsme.or.jp/kaisi/1225-20/

カメラが増産されれば交換レンズは本体以上の数が売れるわけで特に口径の大きいレンズ用のガラスが
入手しづらくなったのではないかと想像されます。
カメラに比べると望遠鏡の方が使用量が少ないわけで大手企業が優先されたというパターンだったかもしれませんね。

Linf様
貴重な情報をありがとうございます。
イントロを読んでみてアマチュア天文家人口推移と理由がわかりました。
本文は時間をかけて読んでみようと思います。(英語が得意ではありません…)

もも様
プラスチックレンズだけでなく30年以上前からガラスレンズも10mm程度の小口径のものはプレスで作られているものがあります。
主にDVDやブルーレイドライブのピックアップに使われています。
プレスで作る一番の理由は非球面が簡単に作れ、ピックアップの場合は1枚のレンズで済んでしまうことです。
球面のガラスレンズにプラスチックの非球面をモールドしたハイブリッドレンズも作られています。
プラスチックレンズは湿度の影響を受けるので精密なところで使うのには向いていません。
天体望遠鏡の対物レンズに使われていないのもこれが原因と思います。

余談ですが一眼レフカメラの生産数を調べているうちにこんなものを見つけました。

https://www.jtmas.jp/data/pdf/postwar_industry.pdf

1960年代には双眼鏡メーカーが200社以上あったんですね。
(御存じの方もいらっしゃるかと思いますが最後から2ページ目に年代ごとの一覧表があります)
こちらの掲示板をみていて200番台のJBコードがあるのは知っていましたが同時に200社も存在していたというのが驚きです。
また余計な話ですみません。




Re: 4cm屈折の見え味   Linf - 2022/12/16(Fri) 17:00 No.13253

皆様

既出だと思いますが

大阪大学経済学. 63(1) p.151-p.178 2013-06 

1950・60年代の双眼鏡工業とアメリカ市場
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/57113/oep063_1_151.pdf




Re: 4cm屈折の見え味   ガラクマ - 2022/12/18(Sun) 10:28 No.13254

 みなさんからご紹介された資料を拝見し、改めていくつか思うことがいくつかあります。

・終戦直後から、輸出対象として軍需産業から転身しやすいという意味で双眼鏡が選ばれたと思うが、よく指導者が足りたものだ。
・案外、昔から双眼鏡1台あたりの原価は変わらない。レートが1$=500円から1$=360円に変わったところで多くが撤退、倒産したということで、実際手がかかったいたことが分かる。
・そうゆう背景をもってしても光学ガラスの供給が産業の律則となってなかったことより、五藤光学が中級モデルにも青板ガラスを利用したことは(いくら材料があったとしても)指導者の客観性を欠いた拘りではなかったか?

Linfさん、ご紹介の
Public skies: telescopes and the popularization of astronomy in the twentieth century 2010
については、面白そうですので英語不得意な私ですが、もっとじっくり読んでみたいと思います。

ちなみに、スークーさんのファインダーで遊ぶ話と、ちょっとかぶりますが、小口径楽しいですよね。
プラスチックでできてない立派な小口径欲しいですね。
ダウエル、ニューオリオン望遠鏡、共同で作ってください。




Re: 4cm屈折の見え味   昭和の人:還暦+α - 2022/12/18(Sun) 16:17 No.13255

皆様こんにちは

Linf様

文献のご紹介ありがとうございます。
新参者でこのような文献があるとは知りませんでした。
興味深く拝見しました。
板橋に昔から光学部品製造業者が多いことは知っていましたがその背景が良くわかりました。
現状は中国製の台頭で需要が減り世代交代できないことで減少の一途にあるようですね。

ガラクマ様
「五藤光学が中級モデルにも青板ガラスを利用したこと」に関しては謎ですね。
青板ガラスを利用した中級モデルの性能はどうだったのでしょうか?
過去ログを検索させていただきましたが情報を見つけることができませんでした。

青板でも屈折率と分散を測定すればそれに合わせた設計は可能だと思います。
鉄などの不純物の吸収による色付きは厚みが薄ければ無視できるレベルになると思われます。
あとは脈理がなければそこそこの性能が出せるのではないかと思うのですが...。
実物を見てみないと何とも言えませんね。

ちなみに私が所有している古いセレストロンのシュミットカセグレン(赤鏡筒と黒鏡筒:いずれもジャンク購入)
とミードのシュミットカセグレン(自動導入非対応のフォーク赤道儀に載っていました:こちらもジャンク購入)
の補正板はすべて青板です。
補正板の曲率は大きく、ほとんど屈折しないので色収差は問題ないですが脈理は問題になると思います。
脈理を検査して使っているかどうかは補正板を調べてみればわかりそうです。




Re: 4cm屈折の見え味   - 2022/12/18(Sun) 18:09 No.13256

ガラスの脈理の件ですが、「アニール前」の状態ならフロートガラス(一般の青板ガラス)が、るつぼから取り出された直後の光学ガラスよりも少ないです。そしてシュミカセに用いられているのは、BK7などの光学ガラスは窓ガラスよりも脆くて割れやすいからです。窓という過酷条件(?)に特化して性能を高めてきた窓ガラスは光学ガラスより割れにくいので、薄手の補正板に用いられました。転がしたくらいでは割れないのはその御蔭です。割れにくくて脈理もそこそこ少ない、だからシュミカセに使われました。(以上の情報はビクセン光学の古老がセレストロンから聞いたお話より。)

とは言え、応力で割れない程度までの管理なので、光学的に見ると不満足。これが液晶用のガラスまで行くと、一発で脈理が見えないレベルまで管理して製造しています。(偏光板でサンドイッチされているので基準が厳しい。樹脂の歪と同じで見えてしまうから。。。。 http://www7b.biglobe.ne.jp/~ninjinhouse/r-s-hikari-photoelasticity.html )でも薄いガラス(2mm以下)しかないのでレンズ用には不向きですね。

青板ガラスをレンズに使うデメリットは脈理だけでなく、屈折率やアッベ数が管理されていないこともあります。そもそも管理項目ではないのでロットによってばらつきが生じます。手元の4cmF20のレンズでも、「F20なのになんでこんなに色収差が?」を目を疑うものもありました。月を見ると青いフレアがエッジに強くまとわりつき、シャープ感がありません。
比較に用いたダウエルの4cm(光学ガラス)が、漆黒の背景にスパッと切れ味の良い月を見せてくれ、まさかまさかの「ダウエルに心を洗われる」と言う貴重(?)な経験をしました。

それから英文の長文は、WORDでpdfを開いてDOC(X)形式に保存し直し、これを分割して300ページ以下、5MB以下くらいに分割するとgoogle/deepL翻訳などに流し込めます。(ロックがかかっているとだめですが)WORD形式なら誤訳の修正も楽なので具合良いです。(offce互換ソフトだとpdfのWORD変換がなかなかうまく行かない。フォントの扱いに人力で指定が必要らしい)




Re: 4cm屈折の見え味   (^0^)コメト - 2022/12/18(Sun) 19:57 No.13257   HomePage

utyuujin1.gif あー目からうろこの回答がここにありました。(^0^;

板ガラスを扱う会社におりましたが、厚い(≃10o程度以上)のフロートガラスを
ガラス切りで切断して断面から見ると信じられないくらいに水平方向の脈理が見え、
これを光学ガラスと同等(等方透明)の代用にしようとは思えませんで、仕様が
適うとなったら薄いと使える?かなぁ。。と思う程度でした。(~ ~;

白板と称する硝材も同様で、なるほど青板の青色を抜いただけと分かります。
時々、BK7を調達出来ない会社が白板で代用しており、厚い板材も使っていて困り
ましたネー性能が出なくて。(^0^;

また、BK7の連続アニール材を使用する事も多くて、長〜い光路を必要とする場合が
ままありまして、レーザ光を研磨された平面の側面から入れると、丸い光線束を
入れた筈が、出てくると楕円形となっていて、希望が叶わない事しばし。。(~ ~!

原因は屈折率の局在変異と思われるのですが、これを円形にしてレンズバルク材
にして用いて果たして正常な機能(光学要素)を満足するのかはなはだ疑問です。
知人が28pシュミカセの星像が一方向に伸びていると言うので、拝見したら
なるほどトゲトゲの伸びたもんでした。(^0^8

これなどは補正板の脈理が顕著に見えたのだと思いますが、薄けりゃ何とかなっても
少し厚いとお里が知れて問題も起きようと思うのでつ。(^0^v




Re: 4cm屈折の見え味   もも - 2022/12/18(Sun) 22:46 No.13258

ガラクマさま、みなさま。
こんばんわ、ももで〜す。

なるほど!
その昔のことですが。
星仲間が28cmシュミカセをアスファルト舗装面の上に落下事故。
そこにいたワタシは最悪を覚悟しましたが・・・
粉々になった光学系が目の前に?

しか〜し、主鏡はおろか補正版も何ともなかったという奇跡!
目を疑いました!!
そっか〜そんな理由があったのですね〜
目から鱗でした。




Re: 4cm屈折の見え味   昭和の人:還暦+α - 2022/12/20(Tue) 13:19 No.13259

皆様こんにちは。

原様

確かに青板ガラスは窓材なので強度優先で開発、生産されていますね。
ロットが違えば屈折率や波長分散(アッベ数)が違うのは当然ですね。
五島光学の人々がこの辺りを考慮していたのか無視していたのか気になります。

色収差が大きいものは単純に屈折率が近いので(BK7:1.51633、青板:約1.52)何も考えずに(アッベ数を考慮せず)
BK7の設計のまま置き換えたというパターンのような気がします。

液晶用の板ガラスは無アルカリガラスでこちらのオーバーフロー法で製造されていると聞いたことがあります。
無研磨で使われていると思います。(約30年前の情報ですので今は違うかもしれません)

https://glass-poster.iyog2022.jp/preparing/preparing-07-overflow/

この方法だと厚いものは作れませんね。

(^0^)コメト様のコメントからすると横から見ると脈理がある可能性があります。
板厚方向に屈折率分布があっても全体が同じ分布になっていれば屈折することなく偏光変化は起きないので問題ないわけです。

ご紹介いただいた「光弾性に関する実験」の4 使い方 Dで第2検光子(ポリカーボネート板)を入れて回転していくと
あざやかな模様が見られるとありますが、これはポリカーボネート板が1/4波長板に近い特性になっているからだと思います。
(たまたま1/4波長板になる厚さだったと想像されます)
1枚ではポリカーボネート板を通過した光が円偏光に近い状態になって検光子をいくら回しても消光しないのでコントラストが
付かないのだと思われます。

2枚のポリカーボネート板の光学軸が合うか直交すると1/2波長板に近くなるか0波長板になるので検光子に入る光が
直線偏光に近づき、全体が消光するので歪による偏光変化が強調されてコントラストが良くなるという理屈です。
サンプルがガラスであればこんなことは起きないはずです。

先日、勤務先で購入したこちらがポリカーボネート製でしたので気が付きました。

https://www.mecan.co.jp/Optical-Film/Polarizer/Lambda.html



(^0^)コメト様

BK7の連続アニール材というのは平べったい板状のものでしょうか。
光路が長くなると屈折率分布が積分されるので影響が大きいですね。
アニールが足りず歪が残っているか、そもそも組成の均一性が悪いかのどちらかですね。

板状のものの場合、熱レンズ効果の可能性も少しはあるかもしれません。
温度変化があると外側と中心で温度が変わるので屈折率分布ができる可能性があります。
また、熱膨張で外形も中心と外側で変化の仕方が変わります。
正方形や丸であれば起きませんがアスペクト比の大きい長方形の場合は可能性があります。
これらがあるとシリンドリカルレンズのような作用になります。
光路が短ければ問題ないですがうんと長いとあり得ますね。

私が昔居た光学ガラスメーカーではアサーマルガラスというガラスも作っていました。
屈折率変化と熱膨張による外形変化を調整することで温度が変わっても光路長が変わらないというガラスです。
レーザ用光学素子のガラスとして製造していました。

こちらの35ページ(pdfファイルとしては5ページ目)に説明があります。

https://www.newglass.jp/mag/TITL/maghtml/81-pdf/+81-p031.pdf

結晶化ガラスとガラスのハイブリッドの説明になっていますが私が居た会社では純粋な光学ガラスとして製造していました。

ずいぶん前に社長が交代してからは利益優先になりもう作っていないようです。




Re: 4cm屈折の見え味   (^0^)コメト - 2022/12/20(Tue) 14:34 No.13260   HomePage

utyuujin1.gif 昭和の人:還暦+αさん

はい、BK7材はあの板状になった表面に送りロールの波紋?がある
連続注型後に切断して用いるあれです。(呼び方知らずm(_ _)m)
長い材料を探す。。とは例えばレーザロッドの作成に使えると
思ってはいても光線束の形状が歪んでしまっては無理があります。

これに関連して、しかるに有機材料たるアクリル棒で代用と安易な
指摘があって、実際に使ったら偏光特性の為に4極の同心円模様となり、
あえなく轟沈となった思いがあります。お粗末!m(_ _)m

個人的に連続アニール材は表面と内部で熱拡散の比率が均一では
ないので、応力の残留がごく僅か存在し、長〜い光路で重積され、
普通には使えても用途によっては無理が発覚した。。と考えます。(^0^;

その点、坩堝で溶解した物をインゴットでアニールすれば、本来の
性能も出るのではないかと思うのですが、どう思いますか?
望遠鏡メーカが平面の上で溶解後に伸ばしているのYouTubeで見ましたが、
あれならアニールむらも少なそう。。(^0^v

但し、溶融石英材を代用にしようとしたら、板材の周辺部はシュリーレン
で派手な縞模様が出て、使えなかった事があり、良い?悪い?思い出でつ。(_ _;




Re: 4cm屈折の見え味   もも - 2022/12/20(Tue) 18:42 No.13261

ガラクマさま、みなさま。
こんばんわ、ももで〜す。

補正板でもういっこ。
セレストロンのシュミカセで、主鏡をプライムフォーカスで撮影できる機種がありますよね。
補正レンズもついてるのかな?
あの薄い補正板に重いカメラをつけるとか、取付部分に力を掛けると補正板が割れることがらしい。
青板じゃない素材になったことも影響してるのでしょうね?知らんけど。




Re: 4cm屈折の見え味   - 2022/12/20(Tue) 20:33 No.13262

応力ひずみによる偏光の抜けは僅かでも見えます。液晶テレビの光源(蛍光管だった頃)の熱の当たり方が不均一だったため、温度差によるガラスの応力歪が一時的に生じ、これが偏光抜けになって見えるという問題が業界で一時的に問題となりました(均一になると無問題なので工夫で解決)。

インゴットでアニールした部材は結構あって、プリズムやカーブの強いレンズの元材をざっくり作ってアニール後に成形し、研磨するという方式で、板やブロックから切り出すよりも廃材(というか研磨くず)が少ないので環境負荷が小さく、排水浄化の費用が少なくなるので採用されていました。光学ガラスは鉛やヒ素を含んだものが多いので研磨ですり減らす量その物を減らす必要に迫られたのです。(レンズ工場の廃液処理場で地層のようになったガラス粉末の汚泥が残っていて環境問題となっとりました。)
最近では大雑把なプレスで、ほとんど製品に近い形状まで整形しておいて、薄皮一枚研磨で除去する程度にまでなっています。携帯電話用途くらいなら精密非球面プレス一発で、製造コストと環境負荷の両方を一発で削減しています。

それで思い出しました。ペンタックスもガラス作ってたはずです。昔、ウランレンズと呼ばれたタクマー55mmF1.8の頃は高屈折率異常分散性付与のためにトリウムを添加していましたが、製造停止して長大な年月の後に工場倉庫から原材料のトリウムの粉が入った袋が出てきて・・・一応放射性物質扱いなので・・・処理に困ったとか。。。そんな話がありました。




Re: 4cm屈折の見え味   青色つきこ - 2022/12/21(Wed) 07:58 No.13263

みなさま、こんにちわ。

青板ガラス使用の望遠鏡については、「五藤望遠鏡」「五藤望遠鏡〜その2」でも取り上げていますので、そちらもご覧ください。
日本特殊光学12.5cmシュミットカセグレンのシュミット補正板はBK7です。
いろいろな考え方がありますねぇ。

千葉光学硝子(株)は1958年3月に設立されたもので、創設メンバーの一部が新たにつくったのが光ガラス株式会社と理解しています。何があったのかは不明。国産天体望遠鏡を考えていく上では、千葉光学硝子(株)をもっと調べる必要があります。
光学硝子の用途としては終戦後は双眼鏡用・写真機用が主で、当初は双眼鏡用の比率が大きいです。
資料としては「窯業統計年報」が使えます。




Re: 4cm屈折の見え味   Linf - 2022/12/21(Wed) 13:09 No.13264

皆様

明治から昭和の特殊ガラス(光学ガラスを含む)の発達史です。

窯業協会誌
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jcersj1950/list/-char/ja
のPDFファイルを無料で閲覧できます。

会田軍太夫 わが国における特殊ガラスの発達 (I)−(VIII)

64巻 718号p18-21 719号p13-17 721号p13-16 722号p33-36
723号p14-18 724号p19-23 726号p19-24 727号p39-44 1956年




Re: 4cm屈折の見え味   昭和の人:還暦+α - 2022/12/23(Fri) 13:53 No.13265

皆様こんにちは。

(^0^)コメト様

板状のBK7はこちらの形状のものですよね。(先日の光ガラス株式会社の工程の中にありました)

https://dc.watch.impress.co.jp/img/dcw/docs/1016/731/html/23.jpg.html

表面の凹凸は熱の逃げ方が変わることになるのでアニールしても多少の歪が残るような気がします。
円筒状にしたうえでアニールするのが良いのではないでしょうか。
連続溶解はコストダウンが目的で性能は二の次になっている可能性がありますね。
「某社のBK7は精密な用途には使えない、オハラが一番」という噂を聞いたことがあります。

再溶解して時間をかけて徐冷後、成型、アニールすれば改善する可能性があると思います。
コスト的には坩堝溶解と変わらないかかえって高くつくかもしれないですね。

高分子系は分子構造からして偏光特性が出やすいので難しいですね。

石英ガラスは溶融温度が高いので脈理が出やすいようです。
昔は2方向脈理フリーをうたったP10という石英ガラスが良く使われていましたが信越石英の現在の
ラインナップにはなさそうです。

https://www.sqp.co.jp/products/optics.html

全方向脈理フリーのSUPRASIL-P248Cがいったいいくらするのか見当もつきません。

脈理の無い透明な素材として等方性の結晶を使うのも手かもしれません。
Ndなどをドープしていない純粋なYAGなどは結構良さそうです。
固体レーザに使われているので案外安く手に入るかもしれません。
立方晶なので複屈折はありません。

原様

ペンタックス(旭光学)が光学ガラスを製造していたというのは納得です。
旭光学はHOYAに買収された後、Richoに売られてしまいましたね。
最近、たまたまCマウントのエクステンダーを探していてCマウントレンズでよく目にしていた
COSMICARがペンタックスのブランドだったのを知りました。
今でもペンタックスの名前を出しているところがなんとも言えません。

https://uniel-denshi.co.jp/CCTV-LENSES/LENSES-ACCESSORY/EXTENDER/FP-EX2.html

青色つきこ様
「五藤望遠鏡」「五藤望遠鏡〜その2」拝見します。

Linf様
情報ありがとうございます。
「窯業協会」懐かしいです。
学生の時にセラミックスの研究をしていたのでなじみがあります。
今は日本セラミックス協会に名前が変わっていますね。
まだ読んでいませんので週末に読んでみようと思います。




Re: 4cm屈折の見え味   ガラクマ - 2022/12/25(Sun) 22:47 No.13267

garakuma.gif  お詳しい方ばかりなので、私の出る幕はありませんが、
本日、久しぶりに天体望遠鏡博物館に出向いたので、Nikonさんのコーナーのガラス製造の展示物の写真をとってきました。

解説は、私とか館のメンバーではなくて、メーカーさんが作ったものです。





Re: 4cm屈折の見え味   (^0^)コメト - 2022/12/26(Mon) 21:20 No.13269   HomePage

utyuujin1.gif 天体望遠鏡博物館にガラス製造のコーナーがあったんですネ。(^0^;
見逃したか、最近設置されたのか?これは参考になります。

3枚目の画では連続溶解方式がNikonの発明となってますが、これも
始めて聞きました。(^0^8
確かに1970年代から見掛けるようになり、板ガラスメーカとかで
手掛けているのかと思っていました。

また、コズミカのブランドはペンタックスの一部門で用いられていて、
案外に安くもあって(^0^)も何本か買っては使用しました。
結構に開発力があるように思いましたが、元がペンタックスなので
当たり前かもしれません。全周パノラマのレンズとかありました。




Re: 4cm屈折の見え味   昭和の人:還暦+α - 2023/01/09(Mon) 17:07 No.13271

皆様こんにちは。

今年もよろしくお願いします。

既出の「わが国の双眼鏡製造技術の発達史」
https://www.kahaku.go.jp/research/publication/sci_engineer/download/31/BNMNS_E3104.pdf

の46ページに保谷硝子で昭和40年(1965年)にBK7の連続溶解と精密型入れプレスが始まったとあります。
日本での連続溶解は保谷硝子が最初かもしれません。

ドイツのショットは光学ガラスだけでなく板ガラスや耐熱ガラスも製造しているので光学ガラスの
連続溶解を始めたのはショットが最初かもしれないですね。

Linf様ご紹介の「わが国における特殊ガラスの発達」を読みました。
光学ガラスやフィルターの国内生産が発達したのは軍事利用が大きな理由だったと理解しました。
耐熱ガラスや電子管用ガラスの話もあり興味深く読ませていただきました。
(ボリュームがあるので読み進めるのに結構時間がかかりました)
ご紹介ありがとうございました。

また脱線ですが反射鏡用のガラスとして耐熱ガラスのパイレックスが良く使われましたが本家の
コーニングは2006年に生産中止したことになっています。
当時、職場で話題になっていました。
それなのにコーニングのホームページに今もPYREX®ブランド製品としてビーカーなどの実験用品が
掲載されているのが謎です。
外販しないだけなのか関連会社で作っているのかどうなのでしょうかね。
日本では岩城硝子がコーニングのライセンスを受けて生産していましたが今はパイレックスを
名乗っておらず、耐熱容器等が販売されているだけで素材としての供給はなさそうです。
素材については現在はショットのテンパックスがパイレックスの代わりに使われています。
私の勤務先でも昔はパイレックス管を使っていましたが今はテンパックス管を使っています。

現在の反射望遠鏡の主鏡に何を使っているのか少し調べてみましたがSkywacherのニュートン反射鏡筒
の一部に「主鏡には熱変化に強いボロシリケイトガラスを採用。」と表記されているもの以外は
見つかりませんでした。
そんな中、国際光器で扱っているドブソニアンの主鏡の構造にびっくりしました。

http://www.kokusai-kohki.com/products/Nebulite/nebulite35cm.html

本当にパイレックスと同等の熱順応性があるのでしょうか。
お使いになられたことのある方の感想をお聞きしたいところです。
(天文ガイドなどで紹介記事があったのかもしれませんがネットでいろんな情報が入るようになり
10年以上買っていないので…。)




Re: 4cm屈折の見え味   Linf - 2023/01/11(Wed) 00:44 No.13272

昭和の人:還暦+α様

Hubble Optics(2003年- CEO 創業者 Tong Liuさん)

同じ厚さの固体鏡より10倍速く冷えるそうです。
The Alt-Az Initiative Telescope, Mirror, & Instrument Developments, p141 2010

Hubble Opticsで検索すると、cloudy nightsなどの記事が見つかります。




Re: 4cm屈折の見え味   昭和の人:還暦+α - 2023/01/11(Wed) 13:27 No.13273

Linf様

情報ありがとうございます。

10倍も速く周囲温度になじむのなら無垢のパイレックスよりも早く安定しそうですね。
(線膨張係数 パイレック約3×10-6、青板ガラス約9×10-6)

Hubble OpticsのホームページのSandwich Mirrorsで紹介されている20インチ双眼望遠鏡がすごいですね。
一度覗いてみたいものです。

古スコの話から脱線してすみません。




Re: 4cm屈折の見え味   ズーマ - 2023/01/16(Mon) 20:02 No.13283

先週金曜日に、ニコンミュージアムへ行ってきました。
そこにはしっかりと、天体望遠鏡博物館のパンフレットが置いてありました。




Re: 4cm屈折の見え味   ガラクマ - 2023/01/17(Tue) 21:34 No.13284

garakuma.gif 4cm屈折の話だったか、忘れておりました。
皆さん、多種多様なお話、面白いです。ありがとうございます。

天体望遠鏡博物館は、望遠鏡メーカーさんとの関係はいいので、あちこちと提携しております。
また、会員で22インチ双眼望遠鏡を自作している方もおります(初めて見せて頂いた時に、これまで何を見てきたんだ、という衝撃でした)
Nikonの社長がおいでの時は、凄く緊張しました。

ちなみに、やっぱ気になるのが青板レンズですね。
Nikonがすでにアポを作っていた昭和10年代に、五藤光学さんが青板レンズのこだわっていた理由が知りたいと思ってます。

[管理者修正]





Re: 4cm屈折の見え味   昭和の人:還暦+α - 2023/01/18(Wed) 18:30 No.13286

皆様、こんばんは

ガラクマ様

写真のレンズ、焦点距離10m=10,000mmとはすごいですね。(見やすいようにメートル:mは全角にしています)
偵察機から地上を撮影するカメラ用だったのでしょうか。

単レンズでどのくらいの性能が出るのかフリーソフトのLensCalで調べてみました。

色収差は避けられないので単色光で評価しました。

設計データは吉田正太郎先生の「天文アマチュアのための望遠鏡光学」95ページに
記載されている球面収差最小の単レンズ(BK7)です。
(青板と屈折率が少し違うだけなので曲率を少し変えればほぼ同じ結果が得られると思います)

10,000mmはLensCalではうまく計算してくれなかったので1,000mmで計算してみました。

有効径30mm(F33)にすると単色光(d線)では中心のスポットダイアグラムが直径0.002mmぐらいになります。
(円の直径が0.02mmです)

10,000mmの場合は幾何光学的には単純に10倍になるので直径0.02mmになります。

F33の場合のレイリーの分解能は0.022mmですのでほぼ同じです。(計算あっているかな?)

入射角0.33度(20分)のスポットダイアグラムは少し広がっていますがそんなに大きくなっていません。
f=10,000mmでは像高約58mmの位置になります。
これなら銀塩写真用レンズとして実用になりそうです。

有効径は300mmになるので加工のことも考えるともう少し小さいかもしれませんね。
小さくすると分解能は下がりますね。

曲率半径が5.9mと39.5mになるので製造中の評価が大変だったと思います。
基準面を作るにしてもFナンバーが大きく焦点深度が深いので容易ではなさそうです。
その代わりレンズ厚は薄くでき、作図上は中心厚3mmでも可能(D300mmの場合はコバ厚約1mm!)なので
窓ガラスでも作れないことはなさそうです。
薄ければ脈理の影響も小さくなるはずです。

当時はまだカラーフィルムは一般的ではなかったはずなので単レンズ+フィルターの単色光撮影でも
良かったのだと思われます。

単レンズなら簡単に作れて薄く軽くできたこともあり、戦時中の物資不足の状況で青板ガラスを使うという
選択になったのではないでしょうか。

五島光学がこだわったというよりも軍部の指示で青板を使わざるを得なかったということかもしれませんね。
思ったよりも性能が良いものが出来てしまい、その後も青板を使った可能性はないでしょうか。
当事者から話が聞けないのが残念ですね。





Re: 4cm屈折の見え味   (^0^)コメト - 2023/01/18(Wed) 22:00 No.13288   HomePage

utyuujin1.gif 昭和の人:還暦+αさん、皆さん

なるほど青板でも何とかなる範囲なの良く分かります。(^0^;
戦時中の急遽の策とすると、そこに目を付けた先見性は脅威に値します。(偶然?かな?)

あくまで計算に元付く値から判断したとすると、一般的な材質を取り入れなければ
立ち行かなかった当時の物資の欠乏振りも分かろうと言うもんでつ。(^0^8

計算頂いたスポットダイヤグラムを見ると、0.02oのダイヤフラム内の集光分布が
違っており、それでも使えるとなるとこれは使わない手は無い!アマチュア的な発想。(^0^v
SCのCPもそうした発想から採用されていると思うと、やはり国民性を感じます。(^0^)

余談)
(^0^)が中学生の時、O市の児童館に遊びに行くと、G社の社員が来ており、係の
先生が「何か聞くことは無いか?」と言うので、素直な(^0^)は「望遠鏡に青板が
使われていますか?」と聞きました。

某天文台のT先生が天ガで「光学ガラスでないのを使っているのは頂けない」とおっしゃっており、
それしか思い付かなかったのでして、しかして回答は口籠っており、明確な回答が
無かったの覚えています。苦笑




Re: 4cm屈折の見え味   Linf - 2023/02/18(Sat) 23:25 No.13310

皆様

既出かも知れませんが、

Japanese Opticsと
http://www.fischer-tropsch.org/primary_documents/gvt_reports/USNAVY/USNTMJ%20Reports/USNTMJ-200J-0253-0312%20Report%20X-05.pdf
p21 1941年~1945年 富士写真フイルム製造の光学ガラスの販売先と数量
p25 1941年~1945年 日本光学製造の光学ガラス種別の数量

国立研究所の光学ガラスの研究と高松亭 科学史研究 59巻 294号 (2020)に
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhsj/59/294/59_149/_pdf
p152 1946年~1948年 大阪工業試験所の光学ガラス(不良塊)販売実績(数量)

の報告があります。

50年のあゆみ
https://www.fujifilm.co.jp/corporate/aboutus/history/ayumi/dai5-05.html
富士フイルムは、1982年7月に光学ガラス事業から撤退とのことです。




Re: 4cm屈折の見え味   青色つきこ - 2023/02/19(Sun) 11:52 No.13311

みなさま、こんにちわ。
Linf様、こんにちわ。

ご紹介のあったJapanese Opticsには富士写真フィルムの1945年10月の会社データが掲載されており、参考になりました。

なお、1949年時点の役員は次のとおりであり、比較すると面白いです。
取締役社長 春木 栄
専務取締役 森田 茂雄
専務取締役 小林 節太郎
取締役   藤沢 信
取締役   竹内 喜三郎
取締役   北島 弘藏
監査役   作間 政介




Re: 4cm屈折の見え味   スークー - 2023/02/19(Sun) 17:09 No.13312

原さん、みなさんこんにちは。

4pといえば、ミザールのカイザーやCX150に付属していた4pファインダー。
あのアイピース交換ができるやつです。
私、あれを持っているのですが、私のやつは像がイマイチなのです。なぜかピリッとしない。
これで、ちゃんと見えれば面白く遊べそうなのですが・・・。
皆さんのミザール4pファインダーの見え味の印象はどうですか?
お持ちの方、ちょっと教えてください。



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