コーティング 投稿者:
ガラクマ 投稿日:2013/03/02(Sat) 10:23 No.8150 |
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とっちゃんねるの掲示板。コーティングの話で久しぶりの盛り上がりましたが、いかんせん画像添付がないため見たがり、知りたがりには少し欲求不満がたまります。 見たから分かるというものでもありませんが、まずはいろいろ見てみましょう。
ちょうど、スマートアストロノミィから中華)40層マルチコーティングアイピースが国際便で届きました。 http://store.smartastronomy.com/stsepley12.html
参考に、手持ちの怪しげなアイピースと反射を比べてみましょう。 左上から セレストロンPL50o(ビクセン同等品、国産?)、ウォーレンサック30mmWF(国産?)、スマートアストロノミィ Sterling Series PL30o 左前はSMC PENTAXレデューサー×0.72、それとテレビューパラコア。 前列は比較にならないかもしれませんが、後ろの列の色の違いとなんとなく強度はわかります ほぼ自然光の状態,全てマルチコーティングの表示です。
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Re: コーティング
原 - 2013/03/15(Fri) 21:20 No.8199 |
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では手持ちのケンコーマルチコート・プロテクトフィルターです。お椀に水を入れて、斜めに半分沈めています。上の1/3がフィルター両面が空気中に露出した状態です。お馴染みの緑色の反射光が見えます。中間の1/3は裏面側のみ水に触れています。さらに下の1/3は両面、水に沈んでいます。
RGB情報を適当に取ってみると、 上の1/3はR= 70、G=150、B= 90 中の1/3はR=180、G=160、B=160 下の1/3はR=190、G=100、B=200 くらいでした。「同じ物」でも触れる物の屈折率が、空気=1から水=1.33に変わるだけでここまで変わります。マルチコートは複数層の屈折率と膜厚を厳密に設計して反射を抑制しています。ですから,空気が相手でないと機能しません。
一眼デジカメを覗いていて、鼻の脂がLCD表面に付くと反射が目立つのはこのためです。最外層は普通、屈折率が1.38のMgF2が使われています。水の1.33と近いので、ほとんど界面が無くなったのと同じ状態です。設計通りに機能しなくなったので色が変わります。
皆さんも、ジャンクなフィルターがあれば、水=屈折率1.33やグリセリン=屈折率1.45くらいなどを用いて遊んでみて下さい。干渉の不思議さが楽しめるはずです。
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Re: コーティング
トシ - 2013/03/27(Wed) 10:46 No.8239 |
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トシと申します。新参者です。よろしくお願い申し上げます。
唐突で申し訳ありませんが、皆様に質問です。 まず1点目。以前からずっと疑問に思っていた事です。それはコーティングによって実際の望遠鏡の見え味はどのように変わるのかと言うことです。具体的にはノンコートの対物レンズと、簡易な単層コート、上質なマルチコートを施された望遠鏡を比べた場合、例えば淡い星雲星団を観望した場合に、実際の望遠鏡の視野にどれくらいの変化か出るのか、具体的には最微光星の数に違いが出るのか出ないのか、また、月や明るい惑星を観望した場合、フレア等の影響で視野のコントラストに違いが出るものなのか、もし出るとしたら鏡筒の内面処理やバッフリングなどでカバー出来る範囲を超えているレベルのものなのか、などについてお教えいただければ幸いです。もちろん対物レンズ、口径、鏡筒の構造やバッフリングなど、他の条件を全て揃えて、コーティングのみ変えた場合が理想ですが、全く同じ望遠鏡でコーティングのみが違う望遠鏡を2台サイドバイサイドで比較しなければ真に正確なことは言えませんので、ここまで限定すると全く非現実的な質問になってしまいます。そこで、皆様の経験上多分こうだろうと言う範囲内でお答えいただければ嬉しいです。
私がなぜこのような疑問を持ったかと申しますと、レンズはもともと光を透過するように作られているものですから、たとえコーティングが施されていなくとも入射した光のほとんどが透過するはずです。が、その昔は無かったコーティングと言う技術が出現、発展し現在に至ったにはそれ相応の必要性があったに違いないのです。原理的にはレンズの表面反射を抑え、透過率をあげるということと理解しておりますが、実際に望遠鏡を使う上でどのような恩恵があるのか、つまり今現在市場に出回っている望遠鏡の中で、簡易な単層コートを施したもの、上質なマルチコートを施したものが、ノンコートのものと比較して実際に星を見た場合に一体どれ程の違いがあるのかについて興味が尽きません。私自身、今現在はレンズの一面のみ単層マゼンタコートが施された望遠鏡を使っております。過去にはマルチコートが施されたアポクロマートを使ったこともありましたが、口径やレンズ構成、鏡筒のバッフリング、内面処理などが違うため全く比較の対象になりませんでした。
もう一点、望遠鏡の種類やメーカーによって視野の着色に違いがあるように思えます。暖色系の視野、寒色系の視野、ナチュラルの視野と、様々です。屈折望遠鏡でアクロマートとアポクロマートでは色収差の補正が違うので理解できるのですか、シュミット系やマクストフ系など、補正板を使っているものの場合がよくわかりません。これは、対物系に限らずアイピースにも見られるように思います。この違いは、コーティングの差よるものなのか、あるいは光学系に使われているガラス材の違いによるものなのか、あるいはわずかに出現する色収差によるものなのか、お教えいただければ幸いです。
以上です。よろしくお願いいたします。いきなりの長文で読みずらく、申し訳ありませんでした。 |
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Re: コーティング
kinkuro - 2013/03/27(Wed) 13:34 No.8240 |
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管理人さま スマートアストロノミィの中華EP、先日双眼装置で月を堪能いたしましたが、コスパのよいもので満足しております。 40層マルチコーティングの効果はそれほど感じませんでしたが、ヘタレ目なので仕方ないところでしょうね。 ノンコートやシングルコート、マゼンタコート等、24.5mmサイズの古いEPから、最新のものまで30本以上集めましたが、木星を見ると特に違いが感じられます。 縞の濃さやゴースト、フレアがそれぞれ違いますが、費用対効果があるのかは人それぞれの価値観なんでしょうね。 |
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Re: コーティング
もも - 2013/03/27(Wed) 18:29 No.8241 |
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こんばんわ、ももで〜す。 数字で表わされるものは比較や絶対値が分かっていいのですが、見え味みたいなものは数字で出てこないので厄介ですね。 ラーメンや蕎麦の味にしても好みのほうが大きいので、Aがあの店は美味しいと言ってもBが美味しいと感じるかどうかはまた別ですし。一方で万人的に美味しい不味いはある程度あるでしょう。 光学系のシャープさやコントラスト、着色や分解能でもそれぞれの目という基準の決まっていない測定器での曖昧な表現方法でしか表現・対比できないものでしょうね。 メーカーでもそれなりにコストや性能の折り合いや、その製品の性格付けなどによって仕様も変わってくるでしょうし、ロットによって違ったり、個体差も出ないことはないでしょう。 勢い自分の価値観や目利きの優劣によって結果がまったく違ってしまうこともありそうです。 またそこが面白いところなのかもしれません。 質問にお答えになれない自分が恥ずかしいです〜 |
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Re: コーティング
トシ - 2013/03/27(Wed) 19:55 No.8242 |
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kinkuro様、はじめまして。トシと申します。貴重な情報をありがとうございます。 各コーティングの違いで木星の縞模様の濃さや、、ゴースト、フレアなどの出かたに違いが出るとのこと、私もアイピースでは経験したことがあります。例えばモノセントリックと言うアイピースでは、私が以前使っていたものではかなりしっかりとゴーストが出ましたが、縞模様のコントラストは他のどのアイピースでも得られないものでした。しかし、アッベ式オルソで、全ての空気接触面にマルチコートが施されたものと、ある面のみコートされたものがあって、それらを同じ対物系で見比べた時は私の目には違いがわかりませんでした。
もも様、始めまして。トシと申します。丁寧なご返信ありがとうございます。まさにおっしゃる通りなのです。定量的なものでない故、実に難しいのです。その昔、私が中学生だった頃、どこぞの望遠鏡メーカーに電話して、この質問をぶつけた記憶があります。その時の回答は確か、対物レンズのコーティングにはあまり頓着せずともよろしいと言うようなことでお茶を濁されて、明確な答えは頂けませんでした。考えてみれば明確に答えろという方が無理な相談なのかもしれません。でもそれから40年経った今でも疑問は疑問としてしつこく残ってしまっております。 今私が使っている屈折望遠鏡の対物レンズは、一面のみマゼンタコートですが、コントラストも良く、実にスッキリと見えます。小口径ですが木星の縞模様など凹凸や色の違いなども見え、この時期シンチレーションの影響を受けやすい大口径のニュートンに比べてもむしろよく見える位です。むしろ質の悪いマルチコートが施されているレンズより、一層のみのマゼンタコートの方が良いということもあるのでしょうか。でもさすがにノンコートだと像質が落ちてくるのかななどと、考えるとキリがありません。
この趣味はなかなか深く、もも様おっしゃる通り、実に面白いです。 |
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Re: コーティング
原 - 2013/03/27(Wed) 22:20 No.8244 |
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まず、一般的なガラスの表面反射率はBK7のような屈折率の低いクラウン系なら4%前後、F2など屈折率が高いと5%程度にまで上昇します。空気界面との反射率=(( ガラスの屈折率−1)/(ガラスの屈折率+1))^2 で計算できます。
仮に反射損失が1面当たり4%としてガラスの吸収がないとすると2枚玉の分離式対物レンズなら空気界面が4面。アイピースがKやOrなど空気界面が4面。合計8面ある場合には(1-0.04)の8乗となり、透過率は72%くらいになります。28%近くが損失します。口径が14%小さくなったのと同じ程度です。しかも暗くなるだけではありません。第二面の反射成分の一部は第一面で再反射され接眼部側に行ってしまいます。偶数回反射した光は接眼部側に行ってしまい、結像に寄与しません。フレアーやゴーストとなります。表面反射率4%で空気界面8面の場合、偶数回反射で接眼部側に行ってしまう光の量は最大で4%くらいです。空気界面が増えればどんどん成績が悪くなります。
反射防止コートが実用化されるまで写真レンズの多くがトリプレット、テッサー、ゾナーなどいずれも空気界面6面の物だったのは、フレアーを嫌ってのことでした。写真用レンズの場合には、フィルム表面で反射された光が最後尾のレンズ表面で再反射される場合も考える必要があるので、条件が厳しかったのです。
反射率が1%まで下がれば空気界面が8面あっても0.99の8乗ですから透過率92%です。SMCの反射率0.2%なら透過率が98%以上です。ノンコートに比べて圧倒的です。
単純に言えばコーティングが良好であればあるほど良さそうなのですが、コーティングの反射率だけでは決まりません。膜質にもよります。膜が十分に緻密で結晶が小さく、散乱が生じなければ良いのですが、膜質が悪いと膜内に多数のクラックが入った状態となり散乱が発生し、フレアーが生じやすくなります。このような場合にはカタログスペックでは良いのに良く見えない/良く写らないとなります。マルチコートされているのに逆光に弱いカメラレンズには、得てしてこんなコートの物が多かったようです。
天体用では視感度が一番高い550nmから510nmくらい(暗順応すると短波長側に若干ずれるので考慮する場合もある)の透過率を最大にしておきたいのでマゼンダコートが多いです。しかし、処理面数の積算で透過率に影響するので、レンズ構成が増えると緑色っぽく色調が偏ってしまいます。(古い双眼鏡でプリズムまで全部同じコートだと影響を受けていました。)
一方でマルチコートも設計次第という部分があって、 (1)色調の偏りを減らすために、波長による反射率の変化を乏しくした代わりに反射率そのものは余り下がっていない物。 (2)反射率の最小値を示す波長を550〜510nmに持ってきて、肉眼での透過率を優先した物。 などがあり、(1)の場合には550nmでの反射率がモノコートと余り変わらない物があります。カラー写真用のレンズに用いるコートなんかはこっち良いわけです。望遠鏡用としては月のように明るい天体を色彩も含めて見る場合と、暗い物を見る場合とでは要求仕様が変わるのでどちらとも言えません。ここは好みが出るところです。
最後にゴーストの問題ですが、ゴーストを散らすか?まとめるか?設計思想で判断が分かれます。
明確なゴーストは気になるので散らして結像させずに終わらせる場合には、その光はフレアーとなって全体のコントラストを落とします。ペンタックスの12.5cm写真用鏡筒は光線追跡でゴーストがフィルム/撮像素子上に結像しない設計としています。ゴーストによる誤認(新天体捜索)を防ぐため、または観賞用写真での邪魔者を消すためです。V社のOrなどもゴーストが明瞭にならないように設計していました。
一方で明確なゴーストを意図的に残す場合には、その光は一カ所に集まって他を汚さないので、ゴーストのない領域ではコントラストが高い像が得られます。モノセントリックやニコンの最近のアイピースはこの発想です。これらは好みに寄るところが大きいです。 |
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Re: コーティング
kinkuro - 2013/03/27(Wed) 22:35 No.8245 |
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双眼鏡に一時嵌ってまして、スワロフスキーやツアイスやライカなど、一皮むけた透明感を感じます。 もちろんコーティングもあるのでしょうが、硝材の差とかもあるのでしょうか? 又は、仕上げ研磨の差なのか・・・。 お高いだけあって、手間やその他のコストがかかってるのは当然でしょうが。 |
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Re: コーティング
渡辺(ロッド) - 2013/03/27(Wed) 23:20 No.8247 |
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皆さん、こんばんは〜 とっちゃんねるのほう、あれ以来初めて見ましたが原さんのお話とても面白く、いつかまたお会いしたら徹夜でお話しても足りないかなぁ〜?と思いました。しかし変な議論になってしまっていて、険悪な空気が漂っていたので、こちらに来ました。 厄払い(?)の意味で、山桜を背景のレトロ望遠鏡(アストロR-61D)をどうぞ。私の一番のお宝です。
コーティングは関勉氏の著書「彗星とその観測(恒星社)」を読むと、アイピースのコーテイングの重要性とNikon12cm双眼鏡の波長別透過率の数字が載っています。 私も昔から彗星がテーマですので、淡い雲状天体を発見するための光学系が重要です。惑星のディティールを見るためにも、また写真撮影でも似たような性能が要求されると思います。
一般的には「何を見るか」「どんな使用目的に」という前提を書かずに「良いか悪いか」「上か下か」という事を論じている人が多いので、話が噛み合いません。観測対象を明記したトシさんの書き方はとても良いと思います。 極限二重星でドーズの限界をクリアしても、淡い物を見分ける能力はまた別だったりしますし、逆に分解能が多少劣っても淡い物の検出が良い光学系もあります。 ある意味、何分のラムダという精度表示はナンセンスとも言えます。 惑星観測と鏡面研磨の達人である田阪氏は、ラムダ表示には難色を示し「結果として良く見える鏡面を作ります」これは現場重視の重いお言葉だと思います。 これはなかなか客観的数値的にはできない難しい問題で、人間の感覚や経験則に頼ってしまいます。 最高の光学器械が欲しいのは人情ですが、資金力との兼ね合いですし、現実には売れないほど高価な物は市場には出回りません。妥協の産物ばかりです。 軍用の光学品なら金に糸目を付けないので、マニアの方は中古品など入手されるのがよろしいかと思います。 同じ下請けから供給される製品がわかれば、割安で高性能な製品が入手できます。
モノセントリックですが、かなり高価でしたが私はドイツ製の7mmを買ってみたら、国産のマルチコートのアッベオルソより段違いに明るいです! 同じ倍率なのに、9mmと同じぐらいの明るさでM57が見えます。 惑星状星雲を見ると差が出ます。10cm以下でM97やNGC2392でシビアなテストするとよくわかります。 勿論、木星の表面も鮮明に見えてとても良い買い物でした。 勿論マルチコートですが、レンズが3枚でしかも貼り合わせというのが良いのでしょう。貼り合わせ面の状態によっても差があるので、ただ単に貼り合わせたというだけでは駄目です。それ以前の基本的な問題として、ドイツ製品に場合は研磨の状態そのものが良いのでしょう。 ただ、解像力そのものはあまり変わりませんでしたので、高価なモノセンを買う必然性はちょっと疑問ですが。
アイピースの場合はレンズそのものの精度は、ルーペと同じ使用目的(拡大レンズ)ですのであまり気にしなくても良いですが、コーティングや内面反射にはうんと神経質になったほうが良いです。 それに対し、対物レンズはまったく逆(結像レンズ)の性質です。ヘタなコーティング(コーティングにはピンからキリまであるので)なら無いほうがマシという人もいるくらいです。 反射鏡の場合にはもっともっと深刻な問題です。 コート(メッキ)の優劣とか劣化によって性能に多大なる差が生じます。 ピンホールも多いです。反射面をできるだけ少なくして、できればプリズムの全反射を利用したいです。 だから天頂ミラーではなく天頂プリズムにしたいところです。 銀メッキのほうが反射率が高く、人間の目に感じる波長粋に合っているので良いのですが、劣化の速度があまりにも激しくて実用には難しいです。 昔流行った3層の増反射コート、いつの間にか利用されなくなったようですが、再メッキが困難とか面精度低下その他性能を悪化させる欠点があったのでしょうか?
レンズのガラス材の良し悪しについては一般にあまり論じられませんが、これはコーティングや研磨精度以上に大変大きな影響を与えます。 研磨する前に仮磨きをして透過試験(均質性・透過率)をするべきですが、ほとんどはコストの問題で省略されていると思います。ガラスメーカーを信用するしかないのが現状です。 コーティングの性能によって光の透過率(明るさ)という問題は厳然として存在するわけですが、実際の使用形態では乱反射の防止という効果が非常に大きいです。
乱反射はコントラストを悪化させるので、画質を大幅に低下させます。 明るさが例えば5%減じても、あまり問題にはなりません。 むしろ明るさが十分でもコントラストが悪いと微光星雲も惑星のディティールも検出できなくなり、点光源である恒星の極限等級すら悪くなります。
この事をちょっと前の天文ガイドではSN比という言葉で言っていました。 勿論、鏡筒の設計・遮光環や内面塗装(筒の内側に細かいネジを切る)などの機械工作も非常に重要な対策です。 トータルな対策をとってこそ、初めて光学機械としての完成度の高い製品になるのだという事を忘れないで欲しいと思います。
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Re: コーティング
ガラクマ - 2013/03/27(Wed) 23:43 No.8248 |
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トシ様。(たぶん)ご無沙汰しております。 kinkuro様。私も試してみました。古いアイピースと比べれば明るく感じました。 シンプルな構造と無理をしない設計がいいように頭では思いますが、アイピースの場合はコーティング以外の要素も多く、見え方に対するそれぞれの効果を分解して考えるのは難しそうです。
原さんの透過率やフレア、ゴーストに対するお詳しい説明、ありがとうございます。私もイメージがわいてきました。
昔、カメラ用のレンズにT値(≒実効F値)というのが表示されていたものもありますが、良心的と感じました。 また液晶パネルなどではコントラスト比という性能を表す表現もあります。 収差を表す表現はよく見られますが、明るさ、ヌケの良さが視角と直感的に結びつくような表現ができたらいいように思います。
見え方の差を体感できるものは、博物館とかでテーマとして展示できたら楽しいかもしれません。 |
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Re: コーティング
てら - 2013/03/28(Thu) 00:11 No.8249 |
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ガラクマ様、トシ様、常連の皆様こんばんは
原様、ロッド様のおっしゃるとおりですね。
先日、N社の戦前無コーティングから最新のマルチコーティング付の、実はガラスや設計や迷光処理は大して変わらない同倍率同口径の双眼鏡を見比べましたが、やはりコーティングの差はコントラストに、特に逆光の時に大変大きな差を持つこと、深く感銘を受けました。
まだ双眼鏡や望遠鏡、特に古い形式のものでは、透過・反射面数が少ないので何とか使えますが、 現代のズームレンズや、最新の超広視野接眼レンズのように枚数の多いものでは、マルチコーティングでなければ成立しない設計だと思います。 |
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Re: コーティング
トシ - 2013/03/28(Thu) 00:51 No.8251 |
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原様、はじめまして。トシと申します。
非常に理論的なご説明、ありがとうございます。つまり、対物レンズとアイピース合計のレンズ枚数が増えれば増えるほど各面の反射が多くなる。それらの反射は各面で有害な相乗効果をおこし、結像せずにゴーストもしくはフレアになる。ノンコートのレンズではそれらの反射が全く制御できず、発生し放題になるので結像性は上質なコーティングの施されているものと比較して圧倒的に劣る。と言うことになるかと思います。これがどんなものか一度星を見てみたいと言う衝動にさえかられます。
そこでまず対物レンズのみで考えれば、眼視専用の2枚玉アクロマートであればレンズ枚数が少ないのであえてマルチコートでなく眼視の透過領域の波長に合わせた単層マゼンタコートでも十分実用的であると言えると、解釈してよろしいでしょうか。そして上質なマルチコートがより要求されるのは対物レンズよりもむしろレンズ枚数がより多いアイピースであると言っても良いでしょうか。
昔のハイゲンなどに比べてレンズ枚数が非常に多くなっているアイピースが現在流行のようですが、これらのアイピースがノンコートであったならば恐らくとても実用に耐えないものになるのでしょうね。恐らく微光星の数もぐんと減ることが予想されます。実際には、ナグラーなどで星を見てもほとんどフレアやゴーストを感じさせないのは、ひとえに上質なマルチコートが施されているという事なのでしょう。しかし、あくまでも眼視の場合ですがこのようなレンズ枚数の多いアイピースは、何故か惑星の表面模様の描写力ではレンズ枚数の少ないH、HM、Orと言ったアイピースに叶わないように思います(勿論HやHMは対物のF値が十分に暗いことが前提ですが)。これはやはり上質なマルチコートが施されていても、やはりレンズ枚数が少ない方がディフィニションと言う点では有利であるということなのでしょうか。
原様の具体的な説明により今までの疑問が徐々に晴れつつありますが、細かく考えれば考えるほどより深いところへはまり込んでゆくように思います。いやー実に面白いです。 |
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Re: コーティング
トシ - 2013/03/28(Thu) 02:36 No.8252 |
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トシです。すみません。深夜に原様あてにレスを書いていたら、いろいろな方からレスをいただいていました。申し訳ありません。kinnkuro様、渡辺(ロッド)様、ガラクマ様、テラ様には、一両日中にも改めてお返事させていただきます。 ガラクマ様、私は他のガラクマが管理される掲示板も含め貴掲示板には今回始めて書き込ませていただきました。ありがとうございます。この世界、以外と狭いのでガラクマ様とは以前どこかでお会いしていたかもしれませんね。今後ともよろしくお願いいたします。 |
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Re: コーティング
原 - 2013/03/28(Thu) 21:54 No.8255 |
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まず、アイピースの迷光の方が影響が大きいのでは?と言う点ですが、その通りです。対物が2枚、接眼レンズが2枚の場合、生じる迷光は計算では両者とも同じ程度になりますが、対物レンズから接眼レンズまでの距離が長〜〜く、遠いため、対物レンズの散乱光の大半は鏡筒内のつや消し塗料に吸収されるか、絞り環に遮られて接眼レンズまで届きません。対して接眼レンズ内の迷光は目に近く、影響を与えやすいと考えて下さい。
カメラレンズの場合はフィルムとの距離が近く、広角〜標準レンズは深刻でした。ノンコートでは空気界面が8面(4群)でコントラストの劣化が許容されなくなり、カタログスペックではガウス型のレンズの方が性能が良いのに人気は出ませんでした。接眼レンズも多分それくらいの感覚でしょう。2群のH,R,K、OrはOK。3群のErでギリギリセーフ。それ以上はコートが出来るようになってから・・・と言った感じ。
コート層の表面凹凸は基板となるレンズ表面の凹凸に準じますが、微小結晶による界面や凹凸の影響もあり、表面荒さは増大しがちです。電子顕微鏡で見ると六角柱の柱状節理が見える場合もあります。質が低ければコートで散乱が増えるのは事実です。アメリカ製のブランドンアイピースは、「マルチコートによるメリットは少ない」として、モノコートに止めています。構成もPLで単純ですので質の高いモノコートなら大丈夫でしょう。上質のモノコートとしては、ツアイスイエナ時代の望遠鏡対物レンズの多くが記憶に残ります。モノコートなのに反射が暗い。。。。レンズが見えないぞ〜〜といった感じ。
でも、ノンコートの軍用双眼鏡って意外と舐めてかかれません。シャープネスは現行品に負けてないし、クリアーで着色・カラーバランスの偏りも感じられず、順光条件で使う限りは意外や意外です。偕行社の6x24で日陰から見渡すと、「つ、使える!」と感激しました。 |
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Re: コーティング
トシ - 2013/03/28(Thu) 23:55 No.8257 |
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kinkuro様、ツアイスやライカの双眼鏡はいつか死ぬまでに欲しいと思い続けて何時の間にか夢が夢に終わりそうな年齢になってしまいました。何人かに聞いた事がありますが、ツアイス派もいればライカ派もいて面白いです。しかし誰もが「肉眼で見るよりもよく見える」と言います。ある意味光学製品を超えた双眼鏡と言えるかもしれません。
渡辺(ロッド)様、私のモノセントリックはロシア製です。ゴーストはしっかり出ます。解像力は非常に高いですが、視野がやや暖色系に偏ります。好みの問題ですが私自身は寒色系の方がシャープさが実感しやすく好きです。ドイツ製のものは覗いた事がありませんが、お話によると素晴らしい製品のようですね。 やはりコーティングはアイピースには重要な要素なのですね。反面、対物レンズには下手にかけるくらいなら無い方が良いと、確かに全く逆ですね。これはレンズの口径も影響するのでしょうか。アイピースに比べて対物の方が圧倒的にレンズの直径が大きいですね。その分レンズの研磨面に影響を与えずにコートする事が難しいということでしょうか。反射鏡については全く同感です。上質なコーティングは必要ですが、強すぎるコートは研磨面を損ねる可能性がありますね。コートはせずにアルミメッキのみにとどめるべきだと言う人もいます。再メッキも、早すぎると古いメッキを剥がす時に研磨面を傷めるので、ボロボロになるまで待てと言う方もいます。 レンズのガラス材、これはアニールの良し悪しもありますが、惑星の眼視観望には最も重要な要素と私も思います。 実際の眼視でコーティングの恩恵を受ける最も重要な点は、反射によるフレアの発生を抑えることで視野のコントラストを上げるということですね。これは明るい惑星を見る時には非常に重要な要素だということがわかりました。ただ、天の川が見えるような暗い空で、淡い星雲を見る場合、良質のモノコートが施されたアイピースとマルチコートのものとではどうなのか、興味は尽きません。 最後にアストロの屈赤、かっこいいですね。今このようなものをお持ちとは羨ましい限りです。私も高校生の頃、LN4Eと言うピラー脚の10センチ反赤を使っていました。アストロと言う名前を聞くだけでとても懐かしいです。
ガラクマ様、こちらのサイトは結構前からとても楽しく見せていただいておりました。何たって昔の望遠鏡を見ると懐かしさだけでなく、若い頃のエネルギーが再び体にみなぎってくる感じがして、次の日の仕事にも良い影響をもたらしてくれます。このようなサイトは他にはありません。
てら様、まさに痒い所に手が届くレスをありがとうございます。同じメーカー、ほぼ同じ光学系でコーティングの違う双眼鏡を見比べるという御体験、素晴らしいですね。その上でコントラストの違いを感じられた、中でも逆光の時に差を感じられたとのこと、これは非常に説得力のあるお話と思います。ありがとうございます。
原様、ブランドンアイピースのモノコートのお話、いかにコーティングは質が大事かということを知らしめる好例ですね。いずれ、K光器から購入しようかと思っていたところです。これは期待できますね。対物レンズのコーティングは、目の位置までの距離が遠いので鏡筒の迷光処理でカバーできると言うお話、ある意味私が今回一番聞きたかった情報だったかも知れません。ありがとうございました。 |
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Re: コーティング
もも - 2013/03/29(Fri) 00:31 No.8258 |
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こんばんわ、ももで〜す。 アイピースを覗いたときに、惑星などの天体からの光が眼球から反射して視野レンズなどに再反射してコントラストを悪化させることはないのでしょうかしらね? そうなると角膜にもマルチコーティング!! |
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Re: コーティング
トシ - 2013/03/29(Fri) 01:09 No.8259 |
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もも様、今晩は。いやーこれは難しい問題ですね。確かに人間の目は超高性能の光学系であることには変わりありませんね。裸眼の場合、角膜表面でどの程度反射が起こっているのかわかりませんが、メガネをかけてアイピースを覗いたりコンタクトなどを入れるとなると、これは明らかにレンズだからその分反射が起こるかもしれません。しかし実際のアイピースの視野にどの程度影響が出るのかは全くわかりません。ただもし影響が出ても、これはどうしようも無いと諦めるしかないのかも。望遠鏡で星を見るためには、目と言う器官を使ってアイピースを覗くと言う方法に限定されるのでその辺は統一された条件と考えてもいいのかもしれません。最近はメガネのレンズはマルチコートが選べますよね。コンタクトレンズはどうなのでしょうか。メガネの場合は必然的にアイレリーフの長いものしか使えませんが、コンタクトの場合も反射の影響が出るとしたらアイピースのアイレンズから出来るだけ距離を取るという意味で、アイレリーフが長い方が良いのかなど、興味深いです。 |
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Re: コーティング
さゆ - 2013/03/29(Fri) 07:51 No.8285 |
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原さん、みなさん、こんにちは。
>でも、ノンコートの軍用双眼鏡って意外と舐めてかかれません。シャープネスは現行品に負けてな >いし、クリアーで着色・カラーバランスの偏りも感じられず、順光条件で使う限りは意外や意外で >す。 >偕行社の6x24で日陰から見渡すと、「つ、使える!」と感激しました。
古いレンズは表面にできるヤケがコーティングの役割をすることがある、って聞いたことがあるんですが、このレンズもそうだったりして。いや、光学兵器だからスジがいいのかな。
タイムマシンで持っていってサイドバイサイドで確かめるしかない? そんなことしたら時空が吹き飛ぶ?(SFで出てくる設定ですけど(笑)) |
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Re: コーティング
原 - 2013/03/29(Fri) 23:18 No.8288 |
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レンズのヤケの観察から反射防止膜は発明されています。フラウンフォファー(アクロマートレンズの形式でお馴染みの)が古いレンズの方が反射が小さいことから、レンズを酸に浸して劣化を促進する実験で始まっています。表面からガラスの屈折率を上げている金属成分が抜け出した低屈折率の薄い層が、0.1ミクロン程度の厚みなったときに、干渉による反射防止効果が得られていました。
このとき (1)反射の色相が角度で変わる事を観察。 (2)酸による処理時間や濃度によって色相が変わり、波長特性との相関が得られたこと (3)ガラス表面にアルコール皮膜を作成して乾燥させる際に同様の着色が変化しながら見える という一連の実験より、この膜がシャボン玉の干渉色と同じモノと結論づけています。
200年近く前の話です。観察力のある人はこれくらい気が付きます。モノを見て観察することが一番大切です。ちゃんと複数の実験とアプローチで検証しているところは流石です。
同様にレイリーは120年くらい前に劣化したレンズ表面を再研磨すると反射率が向上してしまうことを確認し、表面に非常に薄い層が形成されている事を実験で立証しました。ベンガラなどでゆる〜〜く研磨しただけで変わってしまうのです。0.1ミクロンですから。
その後、酸処理で表面反射を下げる方式が、蒸着膜が実用化されるまでは使われていました。(1930年代くらいまで) 今でもフッ酸のようなガラスを溶解する酸を用いて、同様の処理を検討するケースはあります。(表面がもろくなるので量産向きではありません)
光の干渉により反射を低減している、干渉で色が付いているのは、この時代からの常識です。(笑)
似たような話ではモルフォ蝶の鱗粉やタマムシの色が色素か?干渉か?で議論になり、電子顕微鏡発明以前(1930年よりも昔・・・80年以上前)ですが、鱗粉や玉虫の外皮を「粉砕」することで確認実験が行われています。
色素なら粉砕程度では色は変わりません。分子構造はその程度では壊れないからです。でも、現実には簡単な粉砕で色が消失します。つまり、繰り返しの屈折率の異なる薄膜からなる干渉構造が存在することが実験で立証されたわけです。直接観察できなくても間接的に検証できる方法を考えるのが科学者です。科学は妄想ではありません。実験と検証の積み重ねの成果です。 |
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Re: コーティング
トシ - 2013/03/30(Sat) 19:21 No.8289 |
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フレミングが偶然に青カビの抗菌効果を観察し、ペニシリンを分離した、この人類史上最大の発見によって我々は日々生かされていると言っても過言でありません。フラウンフォーフェルのお話と共通点があるように思います。
ところで、マルチコートでも全く色がつかないものもあります。例えばセレストロンのシュミットカセですが、反射光の色付きがまったくみられません。完全に無色透明で補正板の存在すらわからないほどです。そして、惑星を見るとニュートンやドールカーカムなど、鏡のみの光学系に比べてやや寒色系にシフトしているように思います。特殊なコーティングなのでしょうか。 |
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Re: コーティング
原 - 2013/03/30(Sat) 21:44 No.8290 |
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セレストロンですか・・・最近注意してみて無かったなあ。久しぶりに見てみます。どんな感じかなあ?セレストロンは昔から窓ガラス(フロートガラス)を補正板に使っていましたが、今はどんなんでしょうか?斜めから見て薄青〜薄緑なら窓ガラスです。割れにくいので輸送中の事故が少ないことから採用されていました。
マルチコートで色づきを減らすアプローチは、例えば以下のHPで紹介されているものが代表です。 http://kinoufilm.nof.co.jp/articles/article3-2.html 普通の反射防止コートと異なり、画面に被って見えるために反射率低減よりも反射率カーブの平坦化を重視しています。設計次第でこんな事も出来ます。レンズのような結像系では余りやりませんが・・・
あっとそれから、ももさんの疑問はもっともです。目からの反射光は2%くらいですが、目に面した面が平面に近いと写って見える可能性はあります。月とか明るいと。
実際には斜め横から入射した光が目に反射して迷光になって見えることの方が多いようです。特に公害の多い地域で、公害防止フィルターを装着して観察すると、目側から入った光がフィルターで反射され、コントラストを猛烈に落とすことがあります。アイカップが適切でないとアチョ〜な状況となります。
また、双眼鏡の出来の悪い物では接眼部に金色のコートをしている場合があります。デザイン?の為らしく、反射率は高く、透過率は低く。。。。金色で黄色から赤にかけて反射率が増大する代物なので、透過では緑から青に近い着色となる粗悪品です。このようなアイピースを覗くと、目の位置によっては自分の目?が見えたり、ドーナツ状に周囲の反射光が見えたり、奇妙な光景が展開します。先日、1960〜70年代前半に製造されたらしい有名カメラメーカーP社の8倍40mm(9.5度)という双眼鏡を中古カメラ屋で見つけたのですが、残念な事に上記のような光学系で、イメージダウンしてしまうような商品でした。普通のマゼンタコートなら買ってたのに・・・ |
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Re: コーティング
もも - 2013/03/30(Sat) 21:57 No.8291 |
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こんばんわ、ももで〜す。 街中で輝線で光る星雲用にナローバンドフィルタを接眼部に付けて覗くと・・・ 周りの光の反射で見づらくて閉口することがありますね。 通常でも接眼部周りから迷光が入り込んでコントラストを落とすことはありそうですね。
シュミカセの補正版のコーティングは、表面がほとんど平面ですよね。 双眼鏡の対物レンズやアイピースのレンズのように曲率が大きいので、 コーティングの明るさや着色の度合いや偏りには見た目は有利に働きそうですね。 |
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Re: コーティング
トシ - 2013/03/31(Sun) 00:11 No.8292 |
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今のセレストロンのシュミカセの補正板の材質はよくわかりませんが、とにかく私の目には完全に無色透明に見えます。 シュミカセの補正板は確かに平面に近いですが、不思議なのはミードのものは補正板の色がマリンブルーに見えるのにセレストロンのは無色透明、なぜ?て思います。ミードのは鏡筒の色がマリンブルーだから、補正板も目の錯覚で青く見えるなんて事は.........無いですよね。 |
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Re: コーティング
ガラクマ - 2013/04/01(Mon) 00:15 No.8297 |
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今の私の観測所のメイン望遠鏡はC14/35pシュミカセ、それも曇った補正版のコーティングを剥いだものです。 (残念ながら、剥いだ前後の差は判別できませんでした)
以前アップしましたが、補正板は青板ガラスです。今はどうなんでしょう? 理屈から言ってガラスの均一性は必要ですが、屈折率(そりゃ高い方がいいですが)から必要な計算された曲面がいかにトレースできているかが大事で、コーティングもソリャいいものが欲しいです。
このお話奥が深いですね。研究して論文が書けそうです。 |
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Re: コーティング
トシ - 2013/04/01(Mon) 07:22 No.8298 |
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ガラクマ様、ありがとうございます。
ヒエー、コーティングを剥いだとな!!驚きました。剥いだ前後に差が認められなかった、という事は見え味も変わらなかったと言う事でしょうか?
私がちょっと前まで使っていたものはCー11です。コーティングはEXではなくXLTと称するもので中国生産品で す。よく見えましたが、移動で使うには重く、稼働率が悪くなってきて最近手放しました。補正板の材質は何処かの雑誌の記事で最新のものは白板とか書いてあるものもありましたが、私のものはわかりません。Cー14は歩止まりが良く、非常によく見えると聞いております。 |
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Re: コーティング
ガラクマ - 2013/04/01(Mon) 23:13 No.8303 |
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いや〜。ヘタレ目なので分からない。というところでしょうか。 見比べると分かるかもしれませんが、残念ながら機会がありません。 ヒーターも入れておりませんし、補正版に露がついたりするほうが頭を悩ませます。
コーティングのお話ですが、惑星とか見るのに故意に特定波長の透過率を落としたりするコーティングなんてあるのでしょうか? フィルターでいいじゃんと言われそうですが、たくさん筒があれば、数台はそんなのがあって見比べてみたい気もします。 |
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Re: コーティング
もも - 2013/04/02(Tue) 00:17 No.8304 |
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こんばんわ、ももで〜す。 天体望遠鏡用の凹面鏡などの反射面も表面反射ですよね。 硝子の表面にアルミなどをメッキしてその面での反射になります。 レンズの表面反射を抑えるのにコートするわけですが、 アルミメッキの場合は逆効果ですよね??? |
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Re: コーティング
トシ - 2013/04/02(Tue) 00:38 No.8305 |
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C11の惑星像で一番驚いたのは、シーイングのすごく良い時の土星です。 もともと土星はやや暖色系の対象ですが、私のC11ではナチュラルよりも寒色系にシフトして、カミソリのようなシャープさが特徴です。他の方のC11の印象を是非聞いて見たいです。 惑星の高度、大気中の水蒸気などにも影響すると思いますが、不思議です。コーティングによるものなのか、光学系の材質によるものなのかわかりません。意識的に行っているとしたら、短波長をより透過するようにしているのでしょうか。
もう一つ、ミステリーです。タカハシのミューロン、これ主鏡はモノコート、副鏡はマルチコートです。主、副鏡でコーティングを別ける、何故?って思います。でも色付きはナチュラルで、C11とはかなり印象は違います。この25センチのものは木星ですね。条件が揃えば細かい模様のディテイルが不気味な程見えます。カセグレンで、3本スパイダーが嘘のようです。主鏡をマルチコートにしない事で、楕円面の形状が正確に保たれていると言う事でしょうか。副鏡は球面だからマルチでも形状にあまり影響がないのか等、興味は尽きません。 |
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Re: コーティング
トシ - 2013/04/02(Tue) 08:03 No.8306 |
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もも様、私の乏しい知識で申し訳ありませんが、対物レンズの表面に施すコーティングと、反射鏡に施すそれとは目的が違うように思います。対物レンズの場合は、表面反射を防止する目的、反射鏡の方は逆に反射を増強し、かつメッキ面を保護する役割もあると聞きます。組成もちがうのでしょうか。反射鏡の場合は、シリコン系が多いですね。
専門的なことはわかりません。どなたかフォローお願いいたします。 |
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Re: コーティング
原 - 2013/04/02(Tue) 21:33 No.8308 |
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まず、惑星用に故意に透過率や反射率を制御したコートがあるか?という話ですが、一応、企画としてはあったそうです。中国メーカーの設計者が「長焦点惑星用アクロマート鏡筒で、青のにじみをカットするコートを用いた製品」を企画したのですが、数が出ないと言うことで経営層から却下されたという話です。残念!多分、ロシア物のような濃い青のコートとして短波長をカットする設計だったと思われます。
それから反射板のコートはアルミメッキを保護するためにSiO2やMgF2をコートすることがあります。ビクセンはMgF2だったかな?「天文と気象」の時代の広告で明記されていたはずです。
多くの場合は強固なSiO2(石英/水晶ですから堅い!)が好まれます。厚みは反射防止膜の2倍程度付けて増反射膜として設計します。アルミメッキ単独よりも5〜10%程度反射率を向上させることが可能です。ただし、これも蒸着メーカーの実力差が良く出てしまい、すぐに白っぽくなって剥がれていく製品も多々あります。SiO2の微結晶が荒く、粒子界面からボロボロと壊れていく場合は、すぐにメッキが駄目になります。
それから、マルチコートとモノコートでは成膜するにかかる時間(マルチコートは層の数だけ増大)や手間(マルチコートは厚み精度への要求が厳しい)、歩留まり、面内均一性などから当然の事ながら面積当たりのコストはマルチコートの方が高価です。従って、大面積の主鏡に施すよりも、小さな斜鏡や副鏡に施す方がコストパフォーマンスが高くなります。値段が許せば主鏡もやった方がよいのですが。。。再メッキの際に剥がし難くなるリスクを考えると、主鏡は保護層無しでこまめに再メッキを繰り返し、斜鏡は保護層付きで痛んだら廃品にするという考えもありです。
同様に銀反射膜も主鏡に施すよりも、斜鏡や天頂ミラーのような小さな所に使った方がリスクも小さく、コストも低減となります。適材適所、コストとリスクと性能を天秤にかけて選択することになります。解は一つではないし絶対でもありません。 |
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Re: コーティング
トシ - 2013/04/03(Wed) 01:08 No.8309 |
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原様、ありがとうございます。
コーティングは本当に奥が深いですね。特に反射の場合は蒸着膜厚をコントロールして非球面を作ってしまうなんてのもあります。それにしても蒸着メーカーによってこれほど差があるとは知りませんでした。メーカー品の望遠鏡や、光学系を購入したとき、新品の時点で一般ユーザーが購入時にSIO2の質の良し悪しを見分ける方法があると良いですね。それが無理ならばメーカーを信じるしかないということになってしまいます。
主鏡マルチ、副鏡モノの謎も溶けました。コスト、歩留まり等いろいろ考えて製品を開発しているメーカーに改めて頭が下がる思いです。 |
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Re: コーティング
原 - 2013/04/06(Sat) 20:37 No.8354 |
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反射面が劣化したミラーの例です。C国製の30cmだったかな?結露後に乾燥せずに放置すると、たちまちの内にやられてしまう弱いメッキです。でも新品の状態では全く区別が付かないので困りもんです。
原因としては (1)メッキ前の洗浄が不十分 (2)メッキの際の真空度が悪い (3)アルミが薄すぎて、すぐに酸化してしまった。 (4)保護層の膜質が悪く、保護層として機能していない とかまあ、色々考えられます。昔、国際光器さんで販売していたオプティクリーンを使うと、汚れだけでなくメッキ全てが剥がれてしまうでしょう。。。。 40cm級でこのようなメッキに出くわしてしまった不幸な方も居られます。でも、下手をすると再メッキ代金の方が新品のミラーより高額というのが日本の実情です。
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Re: コーティング
ガラクマ - 2013/04/06(Sat) 21:11 No.8355 |
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こわいですね〜。
保護膜にピンホールが開いていて、そこから侵入した水分が抜けず、保護膜の内側で腐食が広がっているか(ピンホールの原因はたぶん微小な異物で、仕上げでふき取ってしまったのかもしれません)、結露後長い間そのままにしている間、保護膜からシリコンが析出し大気中の酸素を取り込み、酸化シリコンが水垢として残って固着したか・・・そのように理屈を考えるのは楽しいものですが、それは別の話。 この辺は原さんのお詳しいところで、膜かメッキか洗浄不足かというのはそのとうりと思います。
真空度がある程度以上悪かったら、膜質から反射率が落ちてしまいますが、そこまでいかなくても腐食ができえる要因というと、水分を飛ばしきれないからということでしょうか。 |
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Re: コーティング
トシ - 2013/04/07(Sun) 02:09 No.8360 |
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恐ろしいー。これは諦めが.......、いや、つかないですね。短期間でこんなにぼろぼろになるとは。今まで私はニュートンのメッキやコーティングはみんなきちんと行われていると勝手に思い込んでおりました。大きな間違いでした。目から鱗が落ちるとはこのことです。
以前、ある望遠鏡販売店で、メーカー品と言えどコーティング技術にかなり差がありますと説明を受けましたが、それは許容範囲の中での誤算程度の問題だと思っておりました。でも、原様が出されたこのケースは許容範囲をはるかに超えていますよね。これが新品で見分けがつかないとなると、うーん.......。困りますとしか言いようがないですね。 |
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Re: コーティング
原 - 2013/04/07(Sun) 22:31 No.8365 |
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まあ、一晩でこうなるわけではないのですが、こんなやられ方をするというのは私にとってもショックでした。私の持ち物ではないし、C国製の全部がこうではないのですが、ハズレがあるのは明白です。メーカーごとのハズレ率が分からないのは不安要素です。
手元のビクセンのミラーなんかは、10年以上経過しても丈夫ですし、タカハシの16cmF8なんかも丈夫だったと聞きます。信頼性や耐久性は時限爆弾みたいな物で、何年か経過して初めて分かる性能ですから・・・困りますよね。。。
原因はピンホールから水の侵入、ガラス〜アルミメッキ界面が剥がれて浮いて斑紋状・・・というケースも考えられます。鏡の裏面から観察すれば、ピンホールがあれば斑紋の中心にピンホールが見え、それを中心に斑紋状の浮きが生じる・・・という形状で確認できます。写真のミラーは他人の所有物なので確認は出来ませんでした。
私の手元の他のミラーでは全体が白っぽくなって、洗ったらペロペロ。。。というのもありました。(2年くらいしか保たなかったメッキです)結局テープを貼って全部剥がして無メッキ状態に戻してそのままです。(再メッキどこでしようか???ジオマテックが良いのは分かっては居ますが。。。) |
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Re: コーティング
もも - 2013/04/07(Sun) 23:32 No.8366 |
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こんばんわ、ももで〜す。 そういえば、ジオマテックさんが昨年の福島での星祭りに参加しておりました。 詳しくも話しは聞けませんでしたけど、地元県内にメッキ工場があるので持込でも大丈夫ですとのことでした。もし再メッキをお願いしに行く機会があったら楽しみですね。 |
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Re: コーティング
おさんだん - 2013/12/11(Wed) 10:40 No.9127 |
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真のハード・コート・・・ツアイスのコート技術に脱帽! まあ、昔話になります。昭和47年にN大工学部を卒業してカメラ会社に就職した際に、カメラを新調して、レンズの片方を在庫が無く国産、片方をツアイスにしました。仕事柄ケミカルな薬品を使ったりして、数年経ってしげしげとめがねレンズを観ると国産のレンズはコートが傷だらけ、ツアイスは殆ど傷が無い!度が合わなくなって、新調し直し、今度はツアイス・ペンタックスのマルチコートレンズ付きを買いました。仕事で、アルマイト処理の不良を再生するため、普通は苛性ソーダの温浴で剥離しますが、アルミ生地も溶解して、精度の高い部品は規格外になってしまいます。そこでクロム酸溶液で琺瑯容器内温浴でアルマイト皮膜だけを溶解させます。その作業をしばしばやりました。マスク(6価クロムが怖い!)して、眼鏡はそのまま数年やりました。メタルフレームがはやりスペアとして安売り店からマルチコートレンズ(緑色のコート)を付けて買ってみました。先程の作業をそのめがねで行った後、たった1回の作業でめがねレンズに無数の斑点が発生して拭いても全く取れない!!コート皮膜が侵食されてしまったわけです。家に帰り、数年同じ作業をしてきたツアイス・ペンタックスレンズを観察しますと、斑点が一個も無いのです!拭き傷もなし!ツアイスと国産技術の恐るべき差を感じました。安売りめがね店に両方を見せて交換してもらいましたが、他のメーカーはわかりませんが、耐薬品性や傷に対する耐久性も国産とはかなり違いがあったようです。 |
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Re: コーティング
おさんだん - 2013/12/11(Wed) 11:49 No.9128 |
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先程の投稿で、冒頭でめがねと書くべきところをカメラを買ったと書いてしまいました。カメラ会社に入社するのにカメラは買いません(笑)。社会人になるので、新しいめがねを買ったということです。失礼しました。 |
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