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ちょっと遅くなり、お話が昔のものとなりますが、(その2)をご紹介いたします。
******************************************************** 〈その2〉 Stew さんの K=40 18× の接眼鏡は、倍率の表記がなければ単なる普通のケルナー式接眼鏡です。 写真を見ると、普通の K40mm よりも長さが5〜6mmほど短いように感じますが、Stewさんどうでしょうか。
さて、それではこの倍率は何を意味するのでしょうか。天体望遠鏡のように倍率を変えるためにいろいろな接眼鏡を抜き差しすることなく、使用する望遠鏡が決まっているということであれば、15cmや20cmの中口径の据付型屈折赤道儀のファインダーか観光用の望遠鏡でしょうか。 そこで、それらの中から対物レンズの焦点距離が 40×18=720mm のものを探すことにします。
まず、1936年のカタログに登場する20cm据付型屈折赤道儀のファインダーから見てみることにします。 最初にそれらの写真を添付します。20cm据付型屈折赤道儀の鏡筒にはこのように多くのアクセサリー(付属品)が同架されて、K40mmの接眼鏡も数多く使われています。 2番目に1936年〜1969年に製造販売されたモデルと、3番目に1969年以降のモデルのカタログを添付します。
3番目に添付したカタログの3ページ目に、観測用ドームに設置された時の図が掲載されています。 この図には、オプションのアクセサリーも含めて全て描かれているので、それらの焦点距離を2ページと4ページの仕様を見てみます。
2ページから @ガイディングテレスコープ:有効径 80mm、焦点距離 1,200mm Aファインダー :有効径 50mm、倍率 12.5×、焦点距離 500mm、視界 3°
4ページから B星野撮影装置 :有効径 102mm、焦点距離 500mm、キャビネ版 Cコメットファインダー :有効径 102mm、焦点距離 525mm Dソーラープロミネンステレスコープ
このように、これらのアクセサリーを見る限り、焦点距離が720mmのものは見当たりません。 従って、K=40 18×は中口径の据付型屈折赤道儀のアクセサリーに使われたものではなさそうです。
つぎに、接眼鏡の交換をしないで使う望遠鏡と言えば観光望遠鏡でしょう。そこで、「五藤式観光 望遠鏡」のカタログを添付しましたので、そちらを見てみましょう。
No.401 観光望遠鏡 1B型 対物レンズ:2枚構成アクロマート、有効径 60mm(60mは間違い)、焦点距離 1,000mm 接眼レンズ:4群5枚、倍率 33×、実視界 51′、見掛け視界 28°、光明度 3.3、瞳孔径 1.8mm
No.402 観光望遠鏡 2S型 対物レンズ:2枚構成、有効径 80mm、焦点距離 800mm 接眼レンズ:2群5枚、倍率 20×、実視界 3°、見掛け視界 60°、光明度 16、瞳孔径 4mm
No.404 観光望遠鏡 4A型(ゼンマイ式)、4B型(電池式) 対物レンズ:2枚構成、有効径 80mm、焦点距離 400mm、焦点比 1:5 接眼レンズ:2群3枚、倍率 15×、実視界 3°20′、見掛け視界 50°、瞳孔径 5.3mm、光明度 28
No.405 ステレオ観光望遠鏡 5C型 対物レンズ:2枚構成、有効径 102mm、焦点距離 800mm、焦点比 1:8 接眼レンズ:2群5枚、倍率 20×、実視界 3°、見掛け視界 60°、瞳孔径 5mm、光明度 25
No.406 マンモス観光望遠鏡 6S型 対物レンズ:2枚構成、有効径 314mm 接眼レンズ:3群5枚、焦点距離50mm、実視界 1°20′、見掛け視界 60°、倍率 45×、瞳孔径 7mm
No.407 観光望遠鏡 7S型 対物レンズ:2枚構成、有効径 80mm、焦点距離 400mm 接眼レンズ:2群5枚、倍率 20×、実視界 3°、見掛け視界 60°、光明度 16、瞳孔径 4mm
これら、観光望遠鏡の仕様を見ると、対物レンズの焦点距離が 400mm、800mm、1,000mmで、 720mmのものはありません。また、接眼鏡は No.404 のものが 2群3枚構成でケルナー式かも知れませんが、倍率が 15×とちょっと違います。
他の接眼鏡は、レンズ枚数の多いエルフレ型のようですから、K=40 18× の接眼鏡は、観光望遠鏡のものではなさそうです。
〈その2〉おわり。
12716_1.pdf
12716_2.pdf
12716_3.pdf
12716_4.pdf
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