ウラヌス号
大口径 58ミリ・上下微動装置付屈折経緯台
昭和9年「科学画報」に載った広告、最近手に入れた古雑誌で見つけた広告です。
当時、理想的な天体望遠鏡と考えたのは、上の機種(右上隅の写真)。この製品は五藤光学研究所が戦前から出している有名な看板商品でした。詳しい製品の説明は省略するとして、とにかく、あこがれの天体望遠鏡でした。但し、価格があまりにも高すぎて到底手の出る範囲にはありませんでした。
戦後の物価ですが、大変なインフレだったので、毎月のように貨幣価値が下がり、それにつれて物価は上がり続けました。このウラヌス号の戦前の定価は250円でしたが、それがどこまで上がったのか、最終的には4万円になったと記憶しています。その時の4万円は多分学卒の年収くらいの金額ではなかったかと推測されます。
上は、戦後まもなく、五藤光学研究所から取り寄せたカタログですが、当時は、戦前の昭和13年のカタログが送られてきました。但し
価格は違っているので、臨時の処置として記載されてある価格を40倍して考えて欲しいと書かれてあります。
最近、中古ではありながら、当時の姿をほぼ保っているウラヌス号を見ることが出来たのですが----どんな気持ちで見たか?。
その時の複雑な心はちょっと言い表せない気持ちで、つくずく年代の違いを知らされ、隔世の感に浸った、といったところでした。
上左は架台部、幾何学的にも美しくバランスがとれたデザイン。右は付属品 当時の純正付属品とはちょっと内容が違っているようですが、いずれも一級品です。
ともあれ、手作りに等しい作りで、現在ではとても真似の出来ない高級仕上げです。すべての部品部材、それに中身も完璧な出来栄えで、さすがという製品でした。