両眼視実像等倍フアインダー

 両眼で見られるフアインダーがあれば便利だろうと考えて作った試作品です。
 中身は次のように作ってあります。
 まず、対物レンズを用意しました。有効径100ミリで2群4枚の高級品です。焦点距離は300ミリ、f=3 です。-----その焦点位置に測定器等に使われる100ミリ径のスクリーンレンズ(高級アクリルレンズ)焦点距離260ミリを固定しました。更に、別の金枠に十字線を張ってスクリーンレンズに並べてセットしてあります。
 そのレンズ配置一式を鏡筒に収め、明視の距離 25センチの位置から眺めて倍率約1.2倍。30センチからで等倍の実像を両眼で見る事が出来ました。但し、像は倒立像です。
 上の写真は全体像ですが、接眼側にフードをつけたので長くなっています。本体だけの長さは約35センチ程度です。

 一倍の景色をわざわざ望遠鏡を使って見て何が面白いのか?。---多分、この思いは強いでしょうね。
 然し、実際はそうではありません。何よりもスクリーンレンズに写っている景色を手でさわれるのです。〇〇座の〇〇星はこれだよ・・・と、鉛筆の先などで指して教えてやる事も可能になります。勿論、十字線を頼りに観測でのガイドでは抜群の威力を発揮します。更に、実像をルーペで拡大してもOK----そんな「不思議な芸当」が出来るのですよ。

 下の写真はGP赤道儀に同架して遠景を眺めた時のものです。
 フアインダー内の視野の大きさ(倍率)は、目からの距離いかんによって変化するので、この写真のようにカメラを引いて写すと小さく写ってしまいます。勿論、明視の距離(250ミリ)をキープすれば実際視と殆ど同じに見えます。

 このフアインダーの実視界は約15度。15度の視野では「琴座全景」「さそりの頭部」「かんむり全景」「ヒアデス」「オリオン三つ星とリゲル叉はペテルギュース」...等々が入るので、改めて星の美しさに魅了されることでしょう。

 仮にこのフアインダーを実際に生産して販売するとなったらどの位の値段になるか?。-----多分高価になり過ぎて販売は無理でしょうね。
 最大のネックは対物レンズにあります。(推定では本体組み立て一式で〇〇万円になるでしょうか。)
 安くなる条件はないのか?。-----無い事はありません。

 下の写真は、100ミリ径スクリーンレンズ(焦点距離260ミリ)を対物レンズとして、焦点面に同じスクリーンレンズをセットしてほぼ等倍にして写した写真です。別枠の十字線も同じようにしてセットしてあります。この場合も明視の距離で見るのが原則です。視界は実測で約22度でになりました。(写真は便宜的に上下ひっくり返して、正像にしてアップロードしてあります。)
 アクリルレンズ使用と云ってもこのレンズはかなりの高級品だと云う事に加えて、等倍と云う事で像の乱れは殆どありません。像面をルーペで拡大視するとそれなりの色収差が出て来ますが、まあ、我慢の範囲だとも言えるでしょうか。(勿論、拡大倍率にもよりますが・・・。)

実視界が22度の視野となると、「カシオペアW全景」、「馭者座五角形全景」、「オリオン三つ星を囲む外側四角形まで」、「プレアデス ヒアデスまるごと」、「射手座全景」等々、見える範囲はぐっと広くなります。迫力充分です。

 参考までに、この100ミリ径スクリーンレンズの価格は一個 2.800円(+消費税+送料600円)です。2個で5.600円(+消費税+送料600円)。あとはボール紙と絹糸(木綿糸などでもOK)などを用意すれば簡単に自作が出来ます。お試しになっていかがでしょうか。

 因に、レンズの焦点位置を探し出すにはスリガラスを利用し、ピント位置を確かめる事で簡単に決められます。
 十字線枠は、レンズの内側に、出来る限りレンズ面に接近させて組み立てて下さい。

 天頂付近の観測のためには、ミラーを使って光路長250ミリ範囲内の大きな天頂鏡を別途に作って用意されれば完全でしょう。(左右逆転像になるのはやむを得ませんね。)普通の裏面鏡でもOKかNOか、試した事はありませんが、もしかしたらOKかも知れません。(ダメでしたらゴメンなさい。)なお、鏡は光路内でも光路外でも設置が出来る筈です。

 正立にしたい時は?。同じレンズを4 個使って長さが3倍程長くなりますが出来ます。組み合わせ方はそれぞれお考えになって下さい。
長くなるのを避けるとしたら、天頂プリズムを光路内と光路外に各1個ずつ入れると出来ます。但し、90度曲げた位置で見る形になります。


右のライターは大きさの比較のためのもの。

 ※レンズの材質はアクリルです。汚れは液体洗剤を使って丁寧に水洗いして下さい。



|戻る|←戻る