試作
高精度天頂鏡
現在市販されている天頂プリズムの大半は、プラスチックで成形されたボックスにプリズムを装着しただけのものです。勿論これで充分に使用に耐えます。問題はありません。
然し、中にはもっと精度の高い製品が要求されるケースが出て来ます。その理由は、プリズムが本鏡の光軸にキッチリ90°に設置されているのか、と、この点に集約されます。確かに、一般の天頂プリズムでは光軸に正確に90°に取り付けてある保証はありません。絶対に90°でなければならない理由もないので結果的にはおろそかにされているわけです。正確にセットしようにもプラスチック型次第の精度しか期待出来ないのです。それ以上の精度アップについては考慮しようがありません。
その弱点を踏まえてパーフエクトになるよう作ったのが写真の高精度天頂鏡です。まず、なにかと問題を引き起こすプリズムの使用をやめて、反射望遠鏡に使用するミラー(1/4ラムダ)をそのままセットしました。加えて、3本ビスの光軸調整装置を付け、90°を自分の目で確かめて確保出来るようにしてあります。
写真の手前が先端に位置する調整装置です。その右はカバーとなるキャップです。これで万全です。なお接眼部には31.7サイズのアイピース装着用のアダプターが付きます。又、ドローチューブ側には36.4ミリのネジが切ってあり固定リングで所定の位置に取り付けられるようになっています。
文字通りパーフエクトです。
問題はないのか?。ーーーー残念ながらあります。それは、避けようのないの高騰価格です。プラスチックでない事、本体がアルミ鋳物で寸法出しに機械加工を要する厄介なシロモノだという事、加えて、高精度のミラーにこだわった事、それらがあります。
結局、これでは高すぎて売れないとなってオジャンになりました。
一部のアジア製品には、プラスチックボデイに表面ミラーではなく裏面ミラーの化粧カガミを長方形に切断して入れただけの驚くべき製品もあります。然し、価格が常識外の低価格という事で大量に出荷されているケースもあるとか、これが実情だとすれば何をか云わんや、というだけですね。