終戦直後の天体望遠鏡説明書

 終戦直後、五藤光学研究所から販売されていた2インチ半(63.5mm径)屈折式天体望遠鏡の説明書です。表紙と2頁目の外観図のみ載せてみました。A-4サイズ 16頁のタイプ打ち、謄写版印刷の粗末な説明書です。天体望遠鏡そのものは埼玉県富岡市中学校が所蔵されています。この説明書は無論その付属品で お借りしたものです。
新制中学校が発足したのは確か昭和23年です。学校新設と同時に理科教材として購入されたものと思います。説明文は現在の仮名遣いになっているので、説明書に関しては戦後のものですが、製品は戦前からの在庫保存していた部品部材を使って組み立てたのではないかと推測されます。但し、戦前のカタログには多分掲載されてはなかったような機種なので戦後のオリジナル機種なのかも知れません。詳しくは不明です。
 価格は当時としては目の玉が飛び出るような恐ろしい金額だったのではないでしょうか。
 58ミリの屈折経緯台が「ウラヌス号」として一世を風靡していたので、その上のクラスの機種となると相当の覚悟がないと買えない製品だった筈です。その時の中学校の決断を賞賛したい気持ちです。
 説明書の内容は、もしかしたら文語体を引き摺った語句使いかと思ったのですが、口語体でした。但し、漢字が豊富なのはやはり時代を表していると言えます。



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